【2018 成長への展望】J.フロントリテイリング社長・山本良一さん(66)


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 ■日本流の接客で訪日外国人客を魅了

 --足元の個人消費をどうみる

 「当社の百貨店事業の売り上げでいくと、昨年上半期(3~8月期)は前年同期比で1.8%増。これに対して第3四半期(9~11月期)は5.1%増と上向いている。中身を見ても上半期は訪日外国人(インバウンド)向けや富裕層向けが好調で、中間層は厳しかった。実際、上半期の婦人衣料(高級ブランドを除く)は2.7%のマイナスだ。しかし第3四半期の婦人衣料は0.4%増と上向いており、明るい兆しが見え始めている。昨年12月もこの傾向は変わっておらず、今年も期待したい」

 --中国人観光客が中心のインバウンドに変化は

 「いわゆる“爆買い”はなくなり、日本人のお客と同じような購買志向になってきた。たとえば売れ筋の化粧品であれば、単に大量に買うのではなく、販売員からアドバイスを受け実際に試してから買い物をしているようだ。日本流の丁寧な接客がうけており、日本人と同じサービスと商品を提供することが重要だ。外国人向けというよりも、上海や台湾などにまで商圏が拡大したと認識している」

 --アマゾンジャパンなどネット通販が台頭した

 「米国ではアマゾンが参入した業界で既存企業が苦境に陥る“アマゾンエフェクト”があるようだ。日本もそうならないとは限らない。当社としてもEC(電子商取引)ビジネスはもちろん強化していく。ただ、リアル店舗が持つ強さに磨きをかけることが第一だ」

 --具体的には

 「大事なことは、ECにはないリアル店舗ならではの体験を提供することだ。たとえば、昨年4月に東京・銀座に複合商業施設『GINZA SIX(ギンザシックス)』を開業した。商品は洗練され、アートや庭園があるなど空間にも魅力がある。心を癒やしたり気分を高揚させる体験を提供できる。お客さんは店舗内で写真を撮って会員制交流サイト(SNS)にあげるなど楽しんでいる。ネットでも同じ商品を買えるかもしれないが、こうした貴重な体験はできない」

 --働き方改革はどう進めるのか

 「今年1月15日に本社事務所を東京・八重洲から東京・日本橋に移転する。新しい事務所では(固定の席がない)フリーアドレスやペーパーレス化を推進し、テレビ会議なども増やしていく。パソコンやタブレット端末などを活用して在宅勤務制度も検討している。積極的にICT(情報通信技術)に投資して、百貨店事業の生産性を高めていきたい」

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【プロフィル】山本良一

 やまもと・りょういち 明大商卒。1973年大丸。J.フロントリテイリング取締役、大丸松坂屋百貨店社長などを経て、2013年4月から現職。神奈川県出身。