【2018 成長への展望】国内偏重脱し海外事業5割まで拡大


【拡大】

 □MS&ADインシュアランスグループHD社長・柄沢康喜さん(67)

 --今年は新たな中期経営計画をスタートさせる

 「計画の大きな要素はROE(自己資本利益率)10%を目指すことだ。自動車保険は1月から値下げし、修理費単価が上昇するなど収益悪化要因があるが、火災保険は各社とも赤字でこの状況を脱することが大切だ。赤字を解消する中で、自動車の収益のダウンを補いバランスをとっていく。また、ロボット技術を使った業務の自動化や先進デジタル技術を使った業務の効率化でコストを圧縮。MS(三井住友海上火災保険)とAD(あいおいニッセイ同和損害保険)の保険金支払いシステムも2019年以降に共通化され、120億円くらいのコスト削減が実現できる」

 --海外のM&A(企業の合併・買収)について

 「日本に偏っているリスクをできるだけ各地に分散する必要がある。今は利益の過半を国内損保事業が占めているが、世界トップ水準の保険会社は自国の割合が5割を切っている。そういう意味では、国内事業と海外事業の割合をちょうど5割にすることを一つの目安としてやっていきたい。まず、次の計画では、生保と海外事業合わせて5割を目指していく」

 --海外だとどの地域を狙っていくか

 「私たちはアジアに強みがあり、このことがこれまでの提携やM&Aにも有効に生きてきた。米国が若干弱く、良いものがあれば補完したいが、優先順位としてはアジアの今のポジションを維持したい」

 --海外進出はリスクも伴う。昨年は米国のハリケーンなど自然災害が多かった

 「日本では10年に1回くらい大きな自然災害が起きる。海外も同様で、そういうことがあり得るという前提でマネジメントしている。国内生保で250億円の利益を上げており、ダイレクト損保も赤字をほぼ解消。海外で大きな自然災害があっても期間損益の安定化が実現できたと考えている」

 --デジタル技術への投資はどう考えているか

 「16~19年の4年間で1000億円と言ってきたが、次の計画ではもう少し規模は大きくなるだろう。デジタル技術でビジネスモデルはどう変わっていくのか、私たちだけでは難しいので、大学やシリコンバレーの企業などと連携していく。保険商品やサービスにも生かしていきたいと考えており、AI(人工知能)を活用して、お客さまとの対話などこれまで暗黙知のノウハウを解析して効率的なセールスを行うとか、ビッグデータを活用し、オーダーメードの保険商品の開発なども可能になるだろう」

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【プロフィル】柄沢康喜

 からさわ・やすよし 京大経卒。1975年住友海上火災保険(現三井住友海上火災保険)。同社経営企画部長、社長などを経て、2014年6月から現職。長野県出身。