【高論卓説】未来を切り開く経営者の奮起 賃上げ、設備投資 正念場の今年 (1/2ページ)

 大幅な株高で発進した2018年。世界経済の拡大という「追い風」が吹いている間に何としても達成しなければならないのは、潜在成長率の引き上げだ。政府は、賃上げと設備投資を一定程度達成した企業の法人税率を引き下げることにした。企業は思い切ったチャレンジで生産性上昇に取り組むべきではないか。もし、政府の法人減税を受ける企業が微々たるものだったら、日本の前途は暗い。「奮起せよ、経営者」と言いたい。

 大発会の4日、日経平均株価は26年ぶりの高値となる2万3506円で引けた。米国、欧州、中国などグローバルに景気拡大の動きが広がり、表面上、大きな落とし穴は見えない。その効果が日本株にも波及するとのムードが、市場を覆っている結果だと考える。

 株高は株式を保有する富裕層を中心に消費を押し上げる。既に米国では鮮明に起きている現象が、今年は日本でも見られるのではないか。消費を中心とした内需と好調な世界経済に導かれた外需の伸びで、今年の日本経済は潜在成長率をかなり上回る成長が期待できる。

 しかし、外的な環境が良いうちに経済の実力を高めておかないと、世界経済が調整局面入りし、株価が下がり出せば、今とは逆の回転が始まり、日本経済はマイナス成長に転落するリスクにたちまち直面しかねない。そうならないようにするには、地道に潜在成長率を高める努力を継続する以外にない。

過去最高益を出している今こそ、賃上げに原資を振り向けるとき