米家電見本市CES開幕 AI軸に日産連合1130億円投資

 ■新興企業支援にファンド設立

 世界最大の家電見本市「CES」が9日(日本時間10日)、米ラスベガスで開幕した。過去最大規模の約3900社が出展。人工知能(AI)の進化で新たな家電やロボット、人と対話する車などが次々と生まれ、電機メーカーや自動車大手、IT企業が国境や業界の垣根を越えた提携や競争を加速させる中、各社が最先端の技術を披露する。

 日本からはソニーやトヨタ自動車などが出展。日産自動車はカルロス・ゴーン会長が記者会見し、提携先の三菱自動車、フランス自動車大手ルノーと共同で新興企業を支援するファンドを設け、今後5年間で最大10億ドル(約1130億円)を投資すると発表した。

 ファンドには日産とルノーがそれぞれ4割、三菱自が2割を拠出。第1弾として電気自動車(EV)の走行距離を延ばし充電時間も短縮できる「全固体電池」向けの素材を開発する米ベンチャー企業に出資する。ゴーン会長は会見で「外部からの創造力を必要としている」と述べ、先進的な技術やサービスを取り込み、次世代車の競争力を高める考えを示した。

 パナソニックは自動運転の安全性を高める技術や、電池を供給している米テスラのEVを出展。津賀一宏社長は海外企業との協業を進め、収益の柱と見込む車載関連事業を強化する考えを示した。ホンダはAI搭載のロボットを中心に展示し、人の感情を認識して表情や音、動きでコミュニケーションを取ることのできるロボットの試作機などを公開した。

 江崎グリコやヤマハ発動機、オムロンは初めて参加し、AIを使って生活を便利にしたり、技術を進化させたりした製品やサービスを紹介する。

 江崎グリコはAI搭載スピーカーにニンジンやリンゴなど食材の名前を挙げて話しかけると、調理法や豆知識を教えてくれるサービスを開発。ヤマハ発動機のバイクは持ち主を認識し、手招きすると自動で近くまで走ってくる。オムロンの卓球コーチロボットはセンサーとAIで球の飛んでくる方向を予測し、ラケットを操って打ち返す。(ラスベガス 共同)