【2018 成長への展望】新日鉄住金社長・進藤孝生さん(68)


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 ■新中期計画へ経済の波に乗る1年に

 --鉄鋼業界が明るさを取り戻しつつある

 「年4億トンの過剰な生産能力を抱える中国で、政府が2020年までの5年間で最大1億5000万トンの能力を減らすと宣言し、16年以降に1億トン以上減らしたと言っている。非合法(で品質が粗悪な鋼材)の地条鋼も全廃された。最近の中国は生産量が増えてはいるが、多くは国内消化され、輸出は大幅に減った。そのため世界の鉄鋼市況も強含みで推移した」

 --原料価格の乱高下は懸念材料だ

 「昨年は非常に悩まされた。16年夏に中国の炭鉱の稼働制限で原料炭の価格が急騰し、落ち着いたと思ったら、昨年春には(生産国の)豪州がサイクロンの被害を受けて再び急騰した。その後いったん戻したが、ここにきてまた上がりつつある。ただ、これまでのような乱高下はないのではないか。世界鉄鋼協会は18年の需要が16億4810万トンと、3年連続で増えると予測している。今後も緩やかに増えていくだろう」

 --昨年の経営を振り返って

 「昨年1月に起きた大分製鉄所の火災は痛恨の極みだった。8月にようやく生産再開したものの、顧客や流通関係者に大変ご迷惑をおかけした。一方、新日本製鉄と住友金属工業が経営統合してから昨年10月で5年がたったが、この間の経営は大変うまく進んだ。当初想定した2000億円の統合効果も達成できた」

 --昨年3月に日新製鋼を子会社化した

 「(新日鉄住金からの)技術移転や調達面での協力などは順調に進んでいる。日新が呉製鉄所に保有する高炉を新日鉄住金の生産技術で長寿命化し、19年度末に計画していた1基の休止を4年遅らせることができた。400億~500億円のキャッシュ効果がある」

 --素材メーカーの品質不正が相次いでいる

 「対岸の火事ではない。過去には当社にも(同様の問題が)あった。日本鉄鋼連盟は品質保証の体制強化に向けたガイドラインを策定し、内容を拡充してきた。(不正防止方策は)それを守ることに尽きる」

 --今年の抱負は

 「18年度にスタートする新中期経営計画では、まず生産設備と人の再強化に経営資源を投入する。ITを駆使し、各地の製鉄所を一体運営できるようにするなどして、未来の製鉄所を実現する。自動車の技術革新や(原料となる)鉄スクラップの増加など、10年程度の長期的傾向を見据えつつ、今後3年で何ができるか考える。今年の景気は決して悪くないと思う。経済の波に乗っていきたい」

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【プロフィル】進藤孝生

 しんどう・こうせい 一橋大経卒、ハーバード経営大院修了。1973年新日本製鉄(現新日鉄住金)入社。2005年取締役、12年新日鉄住金副社長などを経て、2014年4月から現職。秋田県出身。