【私の仕事】メモリアルアートの大野屋・平野久美さん

「お葬式をきっかけに、家族の気持ちが強くつながることもある」と話す平野久美さん
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 ■遺族とともに「いいお別れ」

 メモリアルアートの大野屋(東京都新宿区)の葬儀事業部に所属し、葬儀の準備や司会を務める。遺族と相談し、故人の写真や花を式場に飾り、参列者が別れのあいさつをするときに案内をしたりする。

 葬儀の前は遺族の気持ちを考えながら、できるだけ寄り添う。「亡くなった方が毎日必ず新聞を読んでいたと聞き、写真の前に新聞を供えたら家族の人から喜ばれた」

 葬儀では司会者があまり大きな声を出してはいけない。ただ、あまり暗い声では悲しい気持ちが強くなるので良くない。「参列者が落ち着いて亡くなった人と最後の別れをできるように、声の調子に気を付ける」

 小さな子供を連れて来る人もいる。式の途中で泣きだしてしまったときは、すぐに別室に一緒に行く。女性のストッキングが破れたときは、そっと交換用のものを渡す。

 参列者は、初めは緊張して少し怖い顔をしていることが多い。「帰るときに表情が柔らかくなり『おかげでいいお別れができました』と言ってもらえると、とてもうれしい」という。

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【プロフィル】平野久美

 ひらの・くみ 国学院大文卒。人が悲しんでいるとき役に立てる仕事をしたいと考え、2013年メモリアルアートの大野屋に入社。27歳。東京都出身。