【2018 成長への展望】日本郵政社長・長門正貢さん(69)


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 ■仮想通貨、オールジャパンなら乗る

 --仮想通貨が注目を集めている

 「中国の電子商取引(EC)最大手アリババグループによる決済サービス『アリペイ』が攻めてきている。みずほフィナンシャルグループが電子マネー『Jコイン』(仮称)をやろうとしているが、日本の問題はメガバンクが絡むと、三菱、住友、みずほ系と必ず3つできることだ。僕たちはオールジャパンになるなら乗るが、どこかの軍勢とだけ組むことはあり得ない」

 --豪物流子会社トール・ホールディングスの買収では、約4000億円の減損損失を計上したが、次にM&A(企業の合併・買収)を行う考えは

 「何らかの相乗効果がなければ関心はない。今やっている業務に近いところ、郵便局ネットワークを有効に生かせる業種や業態の会社に関心を持っているのであり、もうかればいいということではない。トールの件では価格に十分注意しようというのが学びの一つだ。大技を期待しているかもしれないが、今はない」

 --タイミングではないということか

 「環境はかなり悪いと思う。なぜ三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が2009年に米証券大手モルガン・スタンレーに巨額出資ができたのか。それはリーマン・ショックで潰れそうだったからだ。言葉は悪いが、M&Aをやれるときは、相手が傷物で安かったり、ちょっと問題含みで価格がリーズナブルだったりしたとき。垂涎(すいぜん)の的の素晴らしい企業をどうしても、と言って買うなら、とんでもない金を積まないといけない。今は難しい環境じゃないかと思う」

 --やるなら海外買収か

 「全然関係ない。日本でもやることはいっぱいある。北朝鮮で何かが起きたらマーケットが動くこともある。潮目が変わる時期について、今年はしんどいかもしれないが、ないとはいえない」

 --グループ4社の一体感を高める考えがある

 「これまで1つだった会社が4つに分割され、3社同時上場が行われた。採用もそれぞれで行い、人事交流も少なくなり、グループの一体感がないという指摘がある。そこで『チームJP』というキャッチコピーを作り、いろいろな局面で使っていくことを決めた。CMでも最後に共通の音楽を流す」

 --今年の経営方針は

 「経営に打ち出の小づちはない。ゆうちょ銀行や、かんぽ生命でも運用の深掘りを進めている。不動産事業でも環境を整える措置を打とうと思っている」

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【プロフィル】長門正貢

 ながと・まさつぐ 一橋大社会学部卒。1972年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。富士重工業(現スバル)副社長、シティバンク銀行会長などを経て、2016年4月から現職。東京都出身。