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年明け早々、世界中にある何十億ものコンピューターに影響を与える「事件」が発生し、IT業界を揺さぶっている。ことが表面化したのは3日。グーグルの研究チームが、米半導体メーカー、インテルなどのマイクロプロセッサーの中核部分に保存されている機密情報が流出する可能性のある欠陥が2件見つかった、と発表したことに始まる。
1件は「メルトダウン」という名前がついており、インテル製品のみ影響する。もう1件は「スペクター」と呼ばれ、インテルだけでなく米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイシズ)、英ARM(アーム)など過去20年ほどの期間に製造されたほぼ全てのマイクロプロセッサーに影響するものだ。
当初はインテル製品を用いているパソコンだけのバグのように報じられたが、実際はスマートフォン、業務用機器など、世の中にあるほとんどのコンピューター製品が対象だ。盗まれる機密情報とは、コンピューターにログインするためのパスワードなど超重要情報だけに、このリスクを放置するわけにはいかない。
今のところ、この脆弱(ぜいじゃく)性を狙った攻撃などは見つかっていないものの、公表された以上、腕に自信のあるハッカーは動き出しているだろう。米アップルや米マイクロソフトなど基本ソフトを扱っているソフト会社は、この脆弱性の穴を埋めるための対策ソフトを配布している。われわれ一般ユーザーは、アップデートのお知らせなどに気づいた時点で対策ソフトをダウンロードした方がいい。
ところが、今後とも残る2つほどの問題がある。まず、既に幅広く報じられているが、こうしたアップデートを行うと、問題を回避するための処理量が増える分、演算速度が遅くなってしまう。米アマゾン(アマゾン・コム)や米グーグルなどの巨大データセンターも、この処理速度低下の影響を受けるため、世界中のコンピューターが低速化するリスクもあるのだ。