【高論卓説】IT業界に機密情報流出リスク ストレスなしの高速端末、実は脆弱 (2/2ページ)

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 処理速度低下の問題が根本的に解決するのは、新設計のマイクロプロセッサーを搭載したコンピューターの登場を待たなければならない。当面は「処理速度低下」が、この業界のキーワードになりそうだ。

 そして、2つ目の問題は、最近のコンピューターだけでなく、過去20年分が影響を受けるという点だ。定期的に新しいコンピューターへ入れ替えを行っているようなデータセンターなどでは、もれなくアップデートをできるだろうが、今の時代、工作機械、自動車、鉄道、発電所など、ありとあらゆるところにコンピューターは使われている。

 古くても現役で動いているコンピューターも多い。実際に脆弱性を突いた攻撃が起きているわけではないものの、仮に社会システムなどが攻撃を受ければ、大きな影響が発生しかねない。

 費用を誰が負担するか、という問題も出てくる。消費者団体や産業界からは、インテルなどの半導体メーカーに対し、費用負担を求める訴えも提起されることだろう。

 そもそも、高速処理のために採用された設計の副作用として、この脆弱性が生じていた。

 過去20年にわれわれが謳歌(おうか)した、「ストレスなしでサクサクと動くコンピューター端末」「何でもインターネットがやってくれる」という社会は、極めて脆弱な基盤の上にあったことを、1つの教訓としてかみしめるべきだ。「実害がないのに騒ぎすぎ」との声もあるのだが、実害がなかったからこそ、冷静に、今後への教訓とすべきだろう。

【プロフィル】山田俊浩

 やまだ・としひろ 早大政経卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。週刊東洋経済の編集者、IT・ネット関連の記者を経て2013年10月からニュース編集長。14年7月から東洋経済オンライン編集長。著書に『孫正義の将来』(東洋経済新報社)。