【2018 成長への展望】豊田通商社長・加留部淳さん(64)


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 ■革新技術に攻めの一歩踏み出す年に

 --自動車業界の変革で新組織を始めた

 「ネクストモビリティ推進部は、金属や化学・エレクトロニクス部門など10人を中心に150人態勢で全社横断的に取り組んでいる。自動運転や電気自動車(EV)化、シェアリング、コネクテッドカー(つながる車)、軽量化に向けた新素材など業界の変革に対応し、新たなビジネスに挑戦していく。いずれも電子部品が使われ、当社の強みである車載半導体や組み込みソフト子会社『ネクスティエレクトロニクス』と関係があり、相乗効果を出していきたい」

 --革新技術に投資する社内ファンドを設立した

 「ネクストテクノロジーファンドは1件5億円を上限に総額60億円で立ち上げた。社長も最後にハンコは押すが、実際には副社長らに権限を委譲してスピード重視でやっている。すでにEVに蓄えた電気を需給に応じて送配電網に送る米ベンチャーや東南アジア最大の配車サービス、グラブに投資した。2年前の最終赤字転落で正直にいえば社内がやや投資に後ろ向きになっており、競争優位性のある勝ち目のある分野に業種を問わず投資したい。社内の構造改革やコスト削減を進め、土台固めを継続しつつ、今年は攻めの一歩を踏み出す飛躍の年にしたい」

 --アフリカ本部も立ち上げた

 「完全子会社化したアフリカに強い仏商社「セーファーオー(CFAO)」を通じ、コートジボワールでは流通のカルフールが2店目を出店し、ビール工場も立ち上がった。ブルキナファソは車や二輪の販売が好調で、セネガルといった非資源国はいい。一方で、逆にコンゴなど中央アフリカなどの資源国は回復が遅れており、長期の視点が必要だ」

 --中国の存在感が高まる中でどう差別化するか

 「ケニアで実施している人材育成研修『トヨタケニアアカデミー』をいろいろな国に広げていきたい。フランス語圏のカメルーンではCFAOを通じて、自動車のメンテナンスの研修を始めた。将来は農業機械や建機などの研修も手がけ、人材育成に貢献していきたい」

 --革新技術の中では人材が鍵になる

 「人工知能(AI)を活用して実際の事務の効率化も進んだ。手が空いた社員を営業や飛躍のステージの原動力に活用し、働き方を変えていく。外から優秀な人材を招くことも必要だ。テクニカルフェローという従来の管理職とは違う職務ラインも作り、工学部系の専門家も採用する。新卒も半分を理系にしたい」

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【プロフィル】加留部淳

 かるべ・じゅん 横浜国大工卒。1976年豊田通商入社。執行役員、常務執行役員を経て、2011年6月から現職。神奈川県出身。