石川県白山市の田園地帯に、北陸新幹線の車両をメンテナンスするJR西日本の白山総合車両所がある。週2日の見学ツアーは大人気。公開回数を増やし、観光資源としての積極活用を求める声が地元を中心に高まっている。だが施設内は列車が往来し、安全面の課題が多く、JR西は慎重姿勢のままだ。
車両所は、北陸新幹線が延伸開業する1年前の平成26年4月、JR金沢駅から福井方向へ約10キロの場所に開設された。広さは約26万平方メートル(東京ドーム約5・5個分)。車両を留め置き、検査や修理を実施している。
一般の見学ツアーは毎週、火曜と金曜のそれぞれ午前と午後の計4回。毎回10~40人の1団体が対象で、受け付け開始と同時に予約が入るほどの人気だ。
昨年11月中旬、白山市の老人会メンバーが訪問した。JR西の社員がガイドになり、W7系が車庫に入る様子やメンテナンス中の車両を間近で見学。塩崎孝一さん(77)は「ホームから見るのと迫力が違う」と満足そうだった。
白山市は「観光振興につながる」と、公開拡大を要望。しかし、見学中も検査や修理の作業をストップするわけにはいかない。目を配るために社員2人以上が見学者に付き添う必要があり、1回の受け入れは40人が限界だ。車両所の中村宗功(むねよし)総務科長は「新幹線への理解を深めてもらうため公開は重要だが、安全確保が大前提になる」と強調する。