【2018 成長への展望】中小企業基盤整備機構理事長・高田坦史さん(71)


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 ■中小の海外進出へ支援サイトを用意

 --中小企業の景況感は

 「(安倍晋三政権の経済政策)アベノミクスが始まってから景気は右肩上がりが続くが、中小企業に景気がいいという実感はない。われわれが実施した2017年10~12月期の中小企業景況調査では、基調判断はマイナス14.4。『悪い』理由は人手不足に尽きる。今は完全雇用の状態で、昨年11月の有効求人倍率は1.56倍で43年10カ月ぶりの高水準。中小企業はもっと高く深刻だ。この問題を解決しなければ中小企業の売り上げは増えない」

 --人手不足対策は喫緊の課題だ

 「政策効果もあって高齢者や女性も含めた就業人口は過去最高レベルとなり、これまでのように『人手不足に人手で対応する』ことは難しい。アベノミクスで需要が拡大しているにもかかわらず人手不足で生産量が減り、結果的に需要を獲得できなくなっている。これまでのやり方では中小企業の未来はない。労働集約型から省力・省人化やソフト導入などで需要に見合った生産量を維持する必要がある。人工知能(AI)の活用も有効な手段で、今年はその前段階であるICT化を徹底的に進めるべきだ」

 --人口減少で日本市場は縮小するばかりだ

 「拡大する要素は見当たらない。需要減退で売れなくなるなら販売力を高めるしかなく、市場と対話して魅力ある商品を生産・販売する必要がある。また電子商取引(EC)を活用すれば店舗を出すことなく低コストで新たな商圏に参入できる。地方から大都市に、国内から海外に出ていける。消費者にとってもECは便利なので、リアル店舗とECの融合が起きる」

 --中小企業の海外進出は進むのか

 「日本市場の縮小は避けられないので、日本に頼らず海外に出ていくしかない。しかし(下請け体質の)中小企業は自ら考えて行動する習慣が乏しいので途方に暮れている。われわれは、中小企業と国内外の企業をつなぐマッチングサイト『J-GoodTech(ジョグテック)』を用意。日本企業との取引などを希望する海外企業が約4000社登録しており、海外進出に不可欠な信頼できるパートナーとの出会いの場として活用してほしい」

 --中小企業の課題として挙げられる事業承継は

 「経営者の高齢化は進み、事業承継は今や最大の課題だ。一方で、後継者がいたとしても事業をそのまま引き継ぐのではなく変質が求められる。第2創業だ。創業魂を持つ人材を育てる必要がある」

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【プロフィル】高田坦史

 たかだ・ひろし 神戸大経卒。1969年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。2001年取締役、常務役員、専務取締役、トヨタモーターセールス&マーケティング社長などを経て、12年から現職。静岡県出身。