【木下隆之のクルマ三昧】レーシングドライバーに資格は必要? 実は誰でも「プロ」を名乗れるが… (2/3ページ)

 JAF公認のA級ライセンスを所持していればプロか? そうとも限らない。というのも、そもそもレースに出場するためにはA級ライセンスが必要なのだ。つまり、レース未経験者に発給されるのがA級ライセンスなのだ。

 レースに参戦して賞金を獲得すればプロだという考え方もある。だが、入門用のアマチュアレースでさえ、表彰台に立てば5万円だとか10万円だとかの賞金を手にできる。だから賞金の有無だけでプロか否かは判断できない。

◆だから自称プロドライバーが現れる

 全日本選手権、あるいは大勢の観客が訪れるメジャーレースに参戦していればプロレーシングドライバーと名乗れる…というのとも、ちょっと違うような気がする。というのも、レース好きの富裕層が趣味で、自ら身銭を切ってトップカテゴリーに参加している例もある。サーキットを離れれば一人の優秀なビジネスマンであり、そこで稼いだ資金を余暇に投じて趣味のレースに参戦している。その御仁を持ってプロドライバーと呼ぶのははばかられる。ゆえに、参戦カテゴリーや経験だけでプロドライバーと決めつけられない。

 契約金の有無はどうだろう。ん~、契約金を手にできればプロのレーシングドライバーと名乗っていいのかもしれない。勝敗に関わらずギャラが約束されているドライバーのことをプロのレーシングドライバーと判断する。ここが一つの定義のような気がする。

ドイツのニュルブルクリンク24時間レースを走る木下氏のトヨタのマシン

ドイツのニュルブルクリンク24時間レースを走る木下氏のトヨタのマシン

 ちなみに、実績が曖昧でありながらもサーキット走行会や自動車体験会にレーシングドライバーを名乗るドライバーがいる。彼らのことを業界では「走行会レーサー」と呼んで「レーシングドライバー」と区別している。

職業人としてのレーシングドライバーとは実に曖昧