【2018 成長への展望】旭化成社長・小堀秀毅さん(62)


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 ■ヘルスケア分野に意欲、M&A再開

 --元日のニューイヤー駅伝を連覇した

 「幸先のよいスタートが切れた。優勝はグループ全体の活力になる。当社の選手は工場などで働いているので、職場との一体感も出る」

 --昨年の世界経済を振り返って

 「昨年の初めは、多くの政治イベントを控え、経済への影響が懸念されていたが、振り返ってみるといい状況が続いた。特に(化学メーカーの)当社にとっては為替が安定し、原燃料価格も想定内で推移したので事業運営しやすかった。いい1年だった」

 --化学業界にも引き続き追い風が吹いた

 「米国でハリケーンの被害を受けた一部工場が操業をストップした。中国政府の環境規制強化で多くの工場が操業停止となったことも市況を上向かせた。新興国の景気は拡大基調にあるので、需給バランスの締まった状況は続くだろう」

 --旭化成の業績も好調を維持している

 「基礎化学品だけでなく(収益性の高い)機能商品の販売も増えている。付加価値がとれる機能商品を押さえるのが日本メーカーの流儀だ。懸念は直近で上がっている原油価格だが、米国でシェールガスの生産が増えれば一定範囲内に抑えられるだろう」

 --リチウムイオン2次電池に欠かせないセパレーター(絶縁材)の引き合いが活発だ

 「2016年4月に3カ年の中期経営計画をスタートさせたとき以上に電気自動車(EV)へのシフトが進んでいる。生産能力を年11億平方メートルに拡大する20年ごろまでの具体的計画が今月で固まった。当社のセパレーターを使えば最も性能が良くなると顧客に思われるようになりたい」

 --中期計画では3年で7000億円を投資する

 「初年度と2年目に計3500億円の投資を決定する見込みだ。18年度の計画策定はこれからだが、非常に投資意欲は大きく、2000億円ぐらいいくのではないか。残り1500億円は主にヘルスケア分野でM&A(企業の合併・買収)に使いたい。(米セパレーターメーカーの)ポリポアを15年に買収してから自重気味だったので、再びアクセルを踏む」

 --今年の抱負は

 「18年度は中期計画最後の年。やり残したことがないか確認しながら、次の飛躍に向けた意欲的な年にしたい。当社はくい打ちデータ改竄(かいざん)問題を起こした。社会に認められるためにはルールを守る必要があると、社員にもっと浸透させる必要がある」

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【プロフィル】小堀秀毅

 こぼり・ひでき 神戸大経営卒。1978年旭化成工業(現旭化成)入社。取締役、専務などを経て、2016年4月から現職。石川県出身。