【eco最前線を聞く】染めQテクノロジィ 新型防さび塗料で鉛害を封じ込め

染めQテクノロジィの本社玄関には新型防さび剤「NKRN」を紹介する展示がなされている=茨城県五霞町
染めQテクノロジィの本社玄関には新型防さび剤「NKRN」を紹介する展示がなされている=茨城県五霞町【拡大】

  • 染めQテクノロジィの本社玄関には新型防さび剤「NKRN」を紹介する展示がなされている=茨城県五霞町

 □染めQテクノロジィ社長・菱木貞夫氏

 独自のナノテク技術を生かし、密着性や耐久力に優れた塗料の開発を手掛ける「染めQテクノロジィ」(茨城県五霞町)は、新型の防さび塗料を開発した。橋梁(きょうりょう)など社会インフラの長寿命化には表面の塗り替えが不可欠で、事前にさびた部分を削り取るケレンという下地処理が必要となるが、この塗料を使うと一連の作業が不要。さびに含まれた有害の鉛を封じる点が売り物だ。菱木貞夫社長は「地球環境のためにも新型塗料の普及によってケレンをなくしていきたい」と強調する。

 --新型防さび塗料の特徴は

 「一言で表現すれば、さびを落とすのではなく、さびを含む物質が身動きできないように固めてしまう。さびのメカニズムそのものは止めることはできないが、極力外気から遮断させることで、さびの進行を極限にまで遅くすることができる。成分などはノウハウにあたるため明らかにできないが、塗料の粒子をナノ(1ナノは10億分の1)メートル級にまで小さくすることで、細かな傷や凹凸、さびの成分の中にまで入り込み、腐食を確実に防ぐ。製品名は検討中だが、『NKRN』という開発コードを付けている」

 --NKRNの由来は

 「『ノンケレン』をもじって名付けた。ケレンとは、トタン屋根や鉄骨といった鉄素材に塗装をする前にさびを落としたり、さびていなくても塗料の密着を良くするため傷をつけることを指す。その際には専用のやすりや電動工具などを活用する」

 「ケレン作業が不十分な場合、さび止め塗料を塗っても耐久性が弱まったり、塗装後数カ月も経過しないうちにさびが発生したり、塗料が剥げたりする。そうした理由からケレンはさび止めの前工程としては非常に重要な役割を果たすのだが、環境面や労働災害の面で問題のある作業だと指摘されている」

 --問題とは

 「現在でこそ、シックハウス症候群対策への重要性から、揮発性有機化合物(VOC)の放散量が少ない外装塗料が普及しているが、1980年代より前ではそうした化学物質の世界的な規制はいまほど厳しくなかった。そのため橋梁などの防さび塗装には古くから鉛系の材料が使われていた。ところが鉛には毒性がある。塗り替えのケレン作業でさびを落とす作業の際、さびに含まれている鉛を作業員が吸うことになる。防護服を着用するとはいえ、体内への影響は決してゼロではない」

 --国際海事機関(IMO)でも外航船舶を対象に、有害物質を含む塗料の規制を年々強化している

 「米海軍から、海に汚染物質を落とさないためにはどうしたらいいかという相談がきた。それを封じ込めるような塗料を開発できたら、環境問題の解決に大きく貢献できるのではないかと考えた」

 --実証実験などは

 「茨城よりも自然環境の厳しいところでと考え、小笠原諸島で製品テストを実施した。一般の防さび塗料では1カ月もたたずにさびの進行でぼろぼろになるのに対し、NKRNを使ったら半年たっても腐食が確認できなかった」

 --販売目標は

 「既に海運業界や建設関連の業界から関心を持っていただいている。いままでにない防さび塗料なのでどのくらいかは分からないが、今春をめどに販売を開始し年間数億円の売り上げを目指したい」(松村信仁)

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【プロフィル】菱木貞夫

 ひしき・さだお 慶大文卒。1972年自動車補修用塗料会社を起業。その後、不動産業などに進出。2002年テロソンコーポレーション(現・染めQテクノロジィ)を設立し社長に就く。75歳。東京都出身。