【ベンチャー支援の現場から】政投銀、健康・医療産業の育成と基盤強化

ライフサイエンス系ベンチャー企業で研究する起業家=米ニューヨーク州(ブルームバーグ)
ライフサイエンス系ベンチャー企業で研究する起業家=米ニューヨーク州(ブルームバーグ)【拡大】

 ■米VCに出資

 日本政策投資銀行は米国の先端的な医療機器や、バイオ医薬品のベンチャー企業に投資を行う米シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)「ライトストーン・ベンチャーズ」と出資契約を交わした。出資額は最大2000万ドル(約22億円)。日本のヘルスケア関連業界では、協業などを通じて新しい考え方や技術、サービスを生み出すオープンイノベーションがあまり進んでいないことから、一定の投資利回りを確保しながら、最先端の業界動向を日本企業に紹介し、医療産業の活性化にもつなげる。

 政投銀は、エネルギーや運輸・交通、都市開発といったインフラ領域への融資や投資が主な収益基盤となっていた。一方、昨年からスタートした中期3カ年経営計画では、今後の大幅な伸びが見込まれる3分野のイノベーションに注力することを強調した。それが航空宇宙と通信、ヘルスケアだ。

 ヘルスケアを重点領域に定めた理由は、超高齢社会への本格移行を見据えた場合、健康・医療産業の育成と事業基盤強化の重要性が増しているためだ。

 外資系の医薬品メーカーは主に、買収によって企業規模を大きくしてきた。これに対し日系メーカーの力の源泉は、基礎研究に重きを置き、着実に遂行することだった。しかし、こうした戦略は行き詰まっているという側面があるのも事実。このため企業の発展には外部の血を取り入れていくことも必要と判断、今回の出資につながった。

 欧米のベンチャーの業態をみると、7割程度をIT(情報技術)が占めている。その次に多いのはヘルスケアで、占有率は約2割に達するという。

 出資先のファンドは、米ボストン、アイルランド、シンガポールに拠点を設け、米国内外で積極的な投資を行っている。政投銀の企業金融第6部ヘルスケア室、矢野拓也調査役は「日本企業には、欧米でどういったことが起きているのかを理解してもらい、投資に意欲を示す企業には金融サポートを行っていきたい」と話している。