【木下隆之のクルマ三昧】EV、PHV、FCV…本命は? 次世代パワートレーン覇権の行方 (1/3ページ)

 平成が終わろうとしている今の時代、自動車の世界は革命期を迎えている。動力が電気モーターになり、運転席に人のいないクルマが走り出そうとしている。人々の移動手段をクルマが馬から奪ったような、100年に一度の大変革期が訪れようとしているのである。

 このところ、新聞を開けばたいがいEVの記事が踊る。イギリスとフランスが2040年までに化石燃料車の販売禁止を発表したことに端を発し、パリ協定で足並みを揃える欧州各国がそれに追従。控えめな日本も、2030年にはEV・PHV比率を保有台数シェアで16%にするとロードマップで掲げた。

 ◆EV時代はすぐに来る?

 まだEV比率は1%にも満たず、EV時代は近未来ではないのに、「EVであらずはクルマであらず」かのような狂乱だ。追い討ちをかけたのは巨人トヨタの新戦略だ。パナソニックと電池生産の子会社を設立。2050年にはガソリン車をほぼゼロにするとの発表が一気にリアリティを高めたのだ。

日産のEV「リーフ」

日産のEV「リーフ」

 ただ、そんなにすぐにEV時代が到来するのだろうか? 我々にはまだ高性能なガソリンエンジンがある。EVといっても、究極のエコ燃料だとされているFCV(燃料電池車)もある。ガソリン併用のPHV(プラグインハイブリッド車)もある。ガソリンエンジンを発電機能とするレンジエクステンダーもある。どれが本命かわからない。先行きは混沌としているのである。

トヨタのプリウスPHV

トヨタのプリウスPHV

EVの一つでもあるFCVの将来性