神鋼、業績堅調も信頼回復急務 不透明感拭えず「官公庁への営業で苦戦」

神戸市中央区の神戸製鋼所神戸本社
神戸市中央区の神戸製鋼所神戸本社【拡大】

 神戸製鋼所の決算では、昨年10月の中間決算で撤回した2018年3月期の連結最終損益見通しが改めて示され、撤回前から事実上、上方修正された。懸念されたデータ改竄(かいざん)の影響は一定範囲内に収まり、3年ぶりの黒字回復はほぼ確実となった。もっとも、データ改竄の影響を含めて先行きの不透明感は拭えず、業績の本格回復はなお予断を許さない。

 データ改竄の17年4~12月期決算への影響額は、経常利益ベースで40億円と比較的軽微にとどまった。データを改竄した問題製品を納入した525社のうち518社で安全検証が終了。1月17日には最重要顧客のトヨタ自動車も安全宣言した。こうした状況を受け、通期の影響額は従来予想の100億円を据え置いた。

 本業は堅調だ。中国政府の過剰生産能力削減による市況改善で、鉄鋼事業の業績が回復。もう一つの柱である建設機械事業も中国販売が上向いている。データ改竄の主な舞台となったアルミ・銅事業では、フル生産状態が続く。

 ただ、鉄鋼では石炭などの原料価格が上昇。建機の中国販売も、政府の景気刺激策が下支えしている面があり、いつ環境が悪化するともかぎらない。データ改竄の影響も、来期以降についてはまだ見通せない状況。同社幹部は「官公庁への営業で苦戦している」と懸念を示す。

 データ改竄をめぐっては、昨年末に予定していた原因調査報告書と再発防止策の公表を2月末に先延ばしたばかり。業績の本格回復には一刻も早い信頼回復も欠かせない。(井田通人)