NEM流出ショック

(上)価格急騰「面白いように増えた…」暗転したもうけ話墜ちた仮想通貨の寵児 (4/6ページ)

 とはいえ、和田が30歳に満たない若さで大手取引所の運営を手がけ、急成長する仮想通貨市場を牽引(けんいん)してきたのは事実。「業界の寵児(ちょうじ)」の名声をほしいままにしてきたが、会見でその輝きは見る影もなかった。

 和田のルーツは幼少期に遡(さかのぼ)る。小学生時代にパソコンに魅了され、プログラミングにのめり込んだ。大学は理系トップクラスの東京工業大に進み、ソフトウエア開発者などが競うイベント「ハッカソン」の優勝経験もある。

 ただ就職活動では苦い思いもした。楽天やグリーなどの門をたたいたが、選考で落ちたという。別の企業の内定は得られたが、意識が起業に傾き、平成24年8月にコインチェックの前身のレジュプレスを立ち上げた。同社では個人が体験談などを投稿するサイトを開発。偏差値を40上げて慶応大に合格した女子高生の話が、「ビリギャル」として映画化されたのは有名だ。

 仮想通貨に関わることになったのは26年。当時、世界最大級の取引所だったマウントゴックス(東京)が、仮想通貨のビットコインの大量消失で破綻。市場は冷え込んだが、和田は逆に、仮想通貨への関心を深め将来性を見いだした。そしてその年の8月、コインチェックが誕生した。

 上り調子の和田には、ビリギャルを超えるサクセスストーリーの始まりに見えていたのかもしれない。

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