企業は監査の世界的管理を KPMGの高橋勉・日本代表

KPMGの高橋勉・日本代表(共同)
KPMGの高橋勉・日本代表(共同)【拡大】

 オランダに本部を置く国際会計事務所、KPMGの高橋勉・日本代表は取材に応じ、日本企業の監査について「グローバル化の進展で本社、海外子会社とそれぞれの監査法人の4者が連携できないと有効に機能しない」と述べ、世界的な管理が欠かせないとの考えを示した。

 高橋氏はKPMGが提携する日本のあずさ監査法人の副理事長も務める。買収した海外企業のガバナンス(企業統治)が日本企業の課題だと強調。「それができなければ(買収先の企業価値が低下して)減損処理のリスクも高まる」と指摘した。

 日本の大手企業が会計監査をめぐってトラブルを起こした最近のケースとしては、東芝がある。不正会計が発覚した東芝は、米原発事業の損失処理に関しても別の監査法人と対立し、決算発表の延期を繰り返した。高橋氏は「(一般的に)大きな不正は一握りの経営トップの間で行われる。経営陣とオープンに対話し、信頼関係を築くことが企業監査で最も重要だ」と話した。

 KPMGはM&A(企業の合併・買収)関連業務も手掛けており、「日本企業のM&A意欲は高い」と分析。金融や小売り、製薬といった産業を挙げ「有力な企業は(市場シェアなどで)世界上位に位置していないと生き残れないと考えている」と語った。(ダボス 共同)