ルールは「守るもの」ではなく「つくるもの」 ヤクルト、ダイキンが欧州で成功した理由 (5/5ページ)

 逆に失敗例として挙げられるのが、米カリフォルニア州でのトヨタ自動車です。同州には、自動車メーカーに対して販売台数の一定割合をエコカー(ZEV:ゼロエミッションビークル)にすることを義務づけた「ZEV規制」があります。これまでは、プリウスなどのハイブリッド車もZEVとして認められてきましたが、2018年モデルから、ハイブリッド車の多くがZEVから外されることになったのです。規制変更を仕掛けたのは、同州に本社がある電気自動車(EV)メーカーのテスラだと言われています。主力のハイブリッド車を外されたトヨタは、今頑張ってEVの開発で挽回しようとしています。

 これから世界市場で大きな成功を収めるには、ルールメイキングを含めた対応が不可欠と言えます。社会に貢献するビジョンを描き、その実現に必要なルールづくりのために、政府をはじめとする関係機関と人脈を築き、賢くしたたかに協議をしていくこと、そして、こうしたルールメイキング戦略に取り組める人材を育成することが、日本企業に求められています。

 (多摩大学大学院教授・経営情報学研究科長 徳岡 晃一郎 構成=増田忠英)(PRESIDENT Online)