【社説で経済を読む】仮想通貨の可能性までつぶすな 問われるバランス感覚 (1/4ページ)

金融庁が立ち入り検査に入った、仮想通貨取引所大手コインチェックの本社が入るビルの前には報道陣が集まった=2日午前、東京都渋谷区
金融庁が立ち入り検査に入った、仮想通貨取引所大手コインチェックの本社が入るビルの前には報道陣が集まった=2日午前、東京都渋谷区【拡大】

 □産経新聞客員論説委員・五十嵐徹

 仮想通貨取引所大手「コインチェック」から、巨額資金が一瞬に流出した事件は、あらためて仮想通貨への疑念と不信をかき立てる結果になっている。

 流出したのは、ビットコインとともに人気が急上昇していた「NEM(ネム)」。同社によると1月26日未明、26万人分時価580億円相当が不正アクセスにより盗み出された。昼近くまで異常に気付かなかったというから管理のずさんさにはあきれる。

 原因は、もっぱら同社の甘いセキュリティー対策にある。NEMはインターネットから遮断して保管する基本的対策すらとられていなかった。複数の秘密鍵も導入していなかった。

 各紙社説が、「顧客の資産を扱うのに値する会社なのか」(産経1月30日付主張)、「利用者保護を置き去りにした、無責任な経営姿勢が目に余る」(読売同日付社説)などと一様に批判を加えたのは当然だった。

 コインチェック社は、流出分は自己資本を取り崩して返すとしているが、具体的な時期はいまだに明らかにしていない。

 仮想通貨の取引は世界的に急増し、とりわけ日本は最大の市場という。その分、ハッカーらに狙われやすいわけだが、やすやすと大型の不正を許す事態はやはり異常だ。2014年には、別の日本の取引所で「ビットコイン」約470億円分が消失する事件があった。今回はそれを上回る世界最悪の被害という

「業界に優しい対応が、甘い安全対策を放置した」