アデコ、休眠美容師の復職や新施術支援 人手不足解消し業界活性化

美容室で働く美容師。アデコと東京都美容生活衛生同業組合は、収入増と労働環境改善を図り、人材確保と定着率向上を目指す
美容室で働く美容師。アデコと東京都美容生活衛生同業組合は、収入増と労働環境改善を図り、人材確保と定着率向上を目指す【拡大】

 人材事業大手のアデコは、美容業界の支援事業に乗り出した。人手不足解消のため、東京都美容生活衛生同業組合と協業して、東京しごと財団から事業を受託。子育てなどで休職している休眠美容師の復職を支援するとともに、短時間勤務など働きやすい雇用環境の整備を進める一方、収益性の高い新施術メニューの提案や研修なども行い、収入増も図る。低収入で離職率が高いとされる労働環境を改善することで人材を確保し、定着率を高めて美容業界の活性化を狙う。

 ◆資格取得で収入増

 支援事業に対して応募した店舗から支援先を選定し、店ごとにコンサルティングやセミナーなどを実施している。86店から応募があり、従業員教育、雇用環境の整備への意欲が高いと思われる50店を支援先に選定。アデコのコンサルタントが店舗ごとに担当し、採用から雇用環境の整備、従業員育成・定着などの支援を2019年3月まで無料で実施する。

 採用支援としては情報サイトに求人情報を無料で掲載するほか、全国の美容学校に求人情報を届ける。経営者に対して採用力を強化するセミナーを開き、個別のコンサルティングも行う。美容師定着のための雇用環境整備のほか、メンタルヘルスプログラム、仕事と家庭を両立させるためのワークライフバランスセミナーなども開く。

 従業員向けには、客単価が高い「まつ毛エクステンション」などの資格取得を支援することで収入アップにつなげる。

 支援先に選ばれた美容室「プリマヴェーラ神楽坂」を経営する山下礼子さんは、「休眠美容師のための復帰プログラムのほか、パートタイム勤務の実施など働きやすい環境整備が進むことによって、業界全体の人手不足が解消されることを期待している」と話す。

 第1子の妊娠出産を機に美容師を離職し、小学3年生を頭に4人の子育てに励んでいる塚田遼子さんは、2月に増毛エクステ講習を受ける。夫が経営する内装業の会社で事務を手伝っているが、美容業界で働きたいという思いを再認識したことから受講を決めた。「現場にいたころ、高齢化が進んだことで薄毛に悩む人が増えていることを知った。技術を身に付けることで、年齢を重ねても仕事を続けたい」と復職への意欲を示す。働き方については「子育てに支障のない平日午前10時から午後4時まで」を希望している。

 ◆結婚・出産機に退職

 現場で働いている美容師は全国で50万人弱と過去最高となっているが、免許を持ちながら働いていない休眠美容師は75万人以上いるとされている。結婚や出産を機に現場から退くことが多いのが要因だ。

 美容業界はフルタイム勤務が定着していることから、生活実態に合わせて時短やパートタイムといった形での職場復帰がしにくい。このため美容業界に戻ることができず、休眠美容師が増えてしまう。

 収入面でも理美容師の平均年収は300万円弱で、一般企業の平均約400万円と比べて低水準にあることも、離職に拍車を掛けている。

 東京都美容生活衛生同業組合の金内光信理事長は「人材不足を背景に美容業界は、ここ数年で大手を中心に環境整備に取り組むようになってきた。しかし中小のサロンからは『どうしていいか分からない』という声が寄せられている。これらに対し、組合として支援していきたい」と話している。

 アデコは「今後も東京都美容生活衛生同業組合と協業で、美容業界への支援を継続していきたい」としている。

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【会社概要】アデコ

 ▽本社=東京都港区南青山1-15-9 第45興和ビル

 ▽設立=1985年7月

 ▽資本金=55億6000万円

 ▽従業員=2800人(2017年7月末時点)

 ▽売上高=1539億円(16年12月期)

 ▽事業内容=人材紹介・派遣、アウトソーシング、人事支援サービス