【21世紀を拓く 知の創造者たち】サントリービール「オールフリー」大幅刷新

全面刷新したノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」
全面刷新したノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」【拡大】

  • 酒巻真琴さん
  • 加藤悠一さん
  • 児島薫さん

 ■ノンアル「オールフリー」大幅刷新 理想の香りで「劇的進化」実現

 サントリービールは、ノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」の中味・パッケージを大幅刷新し、13日に新発売する。「アルコール度数0.00%」「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」という4つの“ゼロ”を実現し、2010年の発売以来、消費者から好評を得ている商品で、今回、「おいしさの劇的進化」を実現し、全面リニューアルすることで販売の拡大を狙う。そこで今回、新「オールフリー」の開発に携わった3人に改良のポイントをはじめ、苦労した点ややりがい、将来の目標などを聞いた。

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 □酒巻真琴さん 満足いく味わいを

 ▽さかまき・まこと サントリービール マーケティング本部ブランド戦略室

 □加藤悠一さん 感性を研ぎ澄ませ

 ▽かとう・ゆういち サントリービール 商品開発研究部

 □児島薫さん  デザイン試行錯誤

 ▽こじま・かおる サントリーコミュニケーションズ デザイン部デザインディレクター

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 --「オールフリー」の中味・パッケージを大幅刷新しました。その狙いは

 酒巻 ノンアルコールビールテイスト飲料市場は年々拡大し、2017年は1860万ケース(1ケースは大瓶20本換算)程度と推定しています。それでもまだ飲んだことがない人も多く、味が進化すれば市場はさらに伸びると考えています。「オールフリー」は毎年、少しずつ改良を重ねてきていますが、今回格段においしくなった中味を実現することができたことを受け、パッケージ・コミュニケーションも含めて全て刷新することを決意しました。

 --従来と比べて、味はどう変わったのですか

 加藤 新「オールフリー」は、“気持ち良い軽快なのどごし”が実感できるおいしさを目指して味づくりを進めました。“粒選り麦芽100%仕込みの一番麦汁使用”“アロマホップ100%”“天然水100%仕込み”という従来の原材料へのこだわりや、インフュージョン製法(糖化工程で麦汁を煮沸せずに段階的に温度を上げる製法)によって、素材のおいしさを引き出してスッキリとした後味に仕上げるという従来のつくり方のこだわりはそのままに、さらなる味わいの進化を実現する方法を考え抜きました。着目したのは香りです。理想とする香りを求めて、ビールはもちろんチューハイやウイスキー、さらには日本酒にまで範囲を広げて味や香りの評価を実施しました。さらに、最新の分析機器と自身の嗅覚を用いて香りの評価・分析を実施し、“ビールらしいおいしさ”の元になる約30種類の香気成分を特定。さらにこの約30種類の香気成分から、目指す中味につながる香りを選び抜き、“気持ちの良い軽快なのどごし”が実感できる新「オールフリー」が完成しました。

 酒巻 ワインや日本酒も香りは大事ですが、アルコールが入っていないノンアルコールビールテイスト飲料で酒らしい味を再現するにあたり、香りにたどりついたことがポイントです。香りというのは、飲んだあとの刺激や満足感にも効果を発揮します。バランスが少し違うだけで、感じ方も全然違います。ノンアルコールビールテイスト飲料というと、お酒が飲めない人やアルコールが飲めない場面で飲むというイメージがありますが、実際に飲まれている方はもっと気軽にビールの味を楽しみたいという、基本的にはビールの味わいが好きな人たちです。今回、そういう人たちが満足いくような味わいへ進化することができたと思っています。

 --今回のプロジェクトを通して、苦労されたことは何ですか

 酒巻 私はプロジェクトのとりまとめ役として、ブランドのマーケティングプランなどを担当しました。全体を通して、やはり、味を進化させることに相当苦労しました。また、味・パッケージの進化を受けて、それをどうお客様に伝えるかを考えるのも大変でした。

 加藤 原料の選定や配合など、味づくり全般を担当しました。一人で研究室に籠り、香りの分析・評価を行ったのは大変でした。一つの香りも見逃せないので、場合によっては昼食を忘れて感性を研ぎ澄まして分析に没頭したこともあります。

 児島 私の担当は商品のパッケージデザインですが、「オールフリー」のイメージを損なわずにパッケージデザインを一新することに苦労しました。お客様には「オールフリー」誕生時の真っ白でシンプルなパッケージの印象が強く、多少のデザイン変更では商品の新しさに気づいてもらえませんでした。試行錯誤の結果、「青」という新しい色を加えることを考えました。青を使うことで「オールフリー」のイメージとかけ離れてしまうかもしれないという懸念もありましたが、逆に青が白を引き立てて新しく進化したと印象付けられました。実は青を採用する前に固まってきたデザインがあったのですが、味の進化とマッチしないということで仕切り直ししました。こんな経験は初めてで、トータルで200以上のデザインを考えました。

 --今回のプロジェクトに対する想いややりがいとは

 酒巻 ここまでの大刷新に携わるのは初めてでしたが手応えも十分あったので、個人的にはとてもやりがいのある仕事でした。新「オールフリー」は、事前調査でも評判が良いので楽しみですし、実際発売されてお客様の生の声がもっと聞けるようになれば、さらに励みにもなると思います。

 児島 これだけ大きくデザイン変更のは「オールフリー」が誕生してから初めてのことです。お客様にどのように感じていただけるか、早く声が聞きたいです。期待しながら見守りたいと思っています。

 加藤 研究所で開発したものが全工場で安定生産できるよう、直接工場に出向いて味の品質チェックを行っています。研究所でつくったおいしさが、全工場を通してお客様のもとに届くということは大変ですが非常にやりがいを感じます。

 --これまでに携わってきた業務が今回のプロジェクトに活かされていることはありますか

 酒巻 「オールフリー」を担当する前は、ノンアルコールカクテルなどを担当しました。その時、ノンアルコール飲料でも場が華やいだり、コミュニケーションを図るのに効果があるということを実感しました。今回のプロジェクトでも、ノンアルコールビールテイスト飲料を今まで以上に楽しんでもらえるようにするにはどうしたらいいか、が考えるベースになっています。

 加藤 私はクラフトビール関連の仕事が長く、米国での視察なども行いました。国内外のさまざまな味のビールを見てきた経験は、今回の香気成分の分析・評価に活きたと思っています。

 児島 私はコーヒーや缶チューハイのデザインなども手掛けています。ノンアルコールビールテイスト飲料とは、全く違う商品ですが、お客様のインサイトは通じるものがあり、その知見を新「オールフリー」のデザインに活かすことができました。

 --今後の目標は

 酒巻 新「オールフリー」を、より多くの人に飲んでもらうことです。飛躍的な成長を遂げ、市場を活性化できるように頑張りたいです。また、私自身はマーケティングの部署が長いですが、お客様の反応などを担当者として見られるというのは幸せなことだと思っていますので、今後も商品に近い部署で働きたいという想いは変わりません。

 加藤 新「オールフリー」が、日本のお客様はもちろんのこと、海外の方にも「日本のノンアルコールビールテイスト飲料と言えばオールフリーだよね」と言われるほど、世界で評価されるブランドにしていきたいです。日本に来られるときには、当社ビール工場を訪れて、新「オールフリー」を指名してもらえるよう、味の品質を維持・向上させていきます。

 児島 例えば炭酸水のように、ノンアルコールビールテイスト飲料の飲用シーンが今まで以上に広がってほしいです。また当社の商品は、例えば「響」などのように素晴らしいデザインが多くあります。デザインが素敵だからサントリーに入りたいという人が増えたらいいなと思いますし、そのために私も頑張っていきたいと思います。