介護費請求、AIで不正防止 富士通が自治体向けにシステム提供

 富士通は、介護給付費の不正請求や事務ミスの増加に対応し、人工知能(AI)を使って請求が適切かどうかを効率的に判断できるシステムの実用化に乗り出す。不正防止に加え、膨大な請求を点検する自治体職員の負担軽減につなげる。実証実験を踏まえ成果を検証した上で各地の自治体に提供し、行政でのAI活用の先駆けとしたい考えだ。

 介護給付費は、訪問介護や老人ホームなどの事業所が毎月、サービスの区分や利用者別に市区町村へ請求する。高齢化で給付総額は年々膨らみ、2015年度は9兆円を突破した。元手は国民が払った税金と保険料だ。

 一方、サービスの水増しや架空計上が各地で増え、制度変更の見落としも起こりがちだという。

 実証実験を始めた東京都北区では年間に延べ約50万件のサービス利用に関する請求を処理しており、単純な記載ミスも含め1年で約3000件の誤りが見つかっている。

 誤りの点検は従来、自治体職員の勘や利用者の通報に頼っていた。これに対しAIを使ったシステムは過去の膨大なデータを基に分析し、誤りの傾向や間違いの多い事業所が分かるようにする。

 北区は6年に1度を目安に、職員を事業所に派遣して指導しているが「少ない職員数で全てを把握するのは難しい」という。

 AIを活用すれば、優先順位を付けて訪問するといった効率化が可能になるとみている。