【ドローンタイムズ】丸の内の地下で自動航行実験

地下フライト実験に使われたLiberawareの機体のモデル。地下構造がわかるCADデータによる3Dマップで航行コースを設定した。150グラムの小さい機体に、レーダーと前方用、下方用のカメラで機体の体勢を制御するため、GPSなしでスムーズに飛行した
地下フライト実験に使われたLiberawareの機体のモデル。地下構造がわかるCADデータによる3Dマップで航行コースを設定した。150グラムの小さい機体に、レーダーと前方用、下方用のカメラで機体の体勢を制御するため、GPSなしでスムーズに飛行した【拡大】

  • 東京・丸の内で報道陣に公開された空調インフラ点検の様子。配管が走る「洞道」と呼ばれるトンネル内をLiberawareの小型ドローンが飛んだ=6日、東京都千代田区丸の内1丁目の地下(渡辺照明撮影)

 ■三菱地所、丸の内熱供給などが実施

 三菱地所、丸の内熱供給、ブルーイノベーション、Liberaware(リベラウェア)の4社が、東京・丸の内の地下に張り巡らされている空調用のトンネル網、「洞道」を、自動航行するドローンで点検する実験を報道陣に公開した。現在は作業員が2人1組で行っており、ドローンに効率化や作業分担の可能性を見いだすことが実験の目的だ。

 「洞道」は一帯のオフィス、商業施設、ホテルなどの冷暖房のために、蒸気や冷水を供給するための配管を通すために張り巡らされた地下トンネル網だ。現在はトンネル内を、点検担当者が肉眼でチェックしている。

 ◆空調インフラ「洞道」

 神経をとがらせるのは水滴。「配管に亀裂が生じれば、吹き出した蒸気が洞道内で水になる。冷水が噴き出せば洞道にたまる」(古田島雄太・丸の内熱供給執行役員)ため、配管の亀裂の目安となる。

 実験会場となった洞道は、断面の直径が2.6メートル。配管がめぐらされているため、幅60センチの限られた空間がドローンをフライトさせられるスペースだ。

 ここを飛ばすドローンには条件が突きつけられる。地下空間なので、GPSに頼らずフライトできること、パイロットの操作に頼らず自動航行できること、狭いエリアを通れること、点検のためのカメラが搭載できること。これらから公開実験には、Liberaware製の、幅15センチ、長さ20センチ、厚み4センチで4つの回転翼を持つ小型機が使われることになった。

 ◆幅60センチの隙間を飛行

 ドローンはあらかじめ報道陣が確認しやすい場所に設置。報道陣はトンネル断面をのぞきこんで実験の様子を観察した。ドローンは、オペレーターが起動させると、まもなくドローンの回転翼がまわり、1メートルほど浮上した。ゆっくりと前進を始め、機体を左右に揺らしながら、しかし左右の配管に衝突することはなく、幅60センチの隙間をぬうように自動でゆっくりと進み、25メートル向こうまで直進した。その間、洞道内部やそこを通る配管を確認した。向こうまで到達した機体は、その後元の位置まで戻り着陸。自動航行のため、あらかじめドローンの動きはプログラムされていて、オペレーターの作業はオン、オフだけ。この間ほぼ2~3分だ。

 この日は搭載したカメラで撮影した映像をリアルタイムで中継することはしなかったが、この機体は機能としても、それも可能だという。

 ◆点検の効率化に期待

 Liberaware代表取締役の閔弘圭氏は「機体は狭小、閉鎖空間で役立つことを目指して開発した」と話している。

 洞道内は狭く、人が点検するには窮屈だ。狭さは均一ではなくさらに狭いところもある。洞道内に空調はなく、熱供給の配管が通っていることもあり場所によっては気温40度ほどになることもある。点検作業は「体力的にはきつい作業」(古田島氏)だが、現在は漏洩(ろうえい)、腐食、破損、漏水、変形などの有無を確認する唯一の手段が巡視でもある。効率化やドローンへの分担は喫緊の課題だ。

 4社は今後、今回の結果を検証し、実用化に向けた課題を抽出する方針だ。