東芝CEOに車谷氏 社外から実質トップへ、「金融業界の大物」の手腕期待

記者会見で握手する、東芝のCEOに就任する車谷暢昭氏(左)と綱川智社長=14日午後、東京都港区(今野顕撮影)
記者会見で握手する、東芝のCEOに就任する車谷暢昭氏(左)と綱川智社長=14日午後、東京都港区(今野顕撮影)【拡大】

 東芝は債務超過解消と上場維持にめどをつけ、危機的状況は脱したが、稼ぎ頭の半導体子会社「東芝メモリ」売却後の成長シナリオは見えてこない。新たに会長兼CEOに就任する車谷暢昭氏は「新生東芝」に反転攻勢の道筋をつける重責を担うことになる。

 「金融機関と投資会社の豊富な経験と実績が新しい知見や視座、刺激をもたらしてくれる」。綱川智社長は14日の会見で車谷氏への期待を語った。

 車谷氏は金融業界で実績を残した大物だ。旧三井銀行にあってはプリンスと称され、三井住友銀行の副頭取時には次期頭取候補とも目された。主に企画畑を歩み、企業再生、M&A(企業の合併・買収)、福島原発事故後の東京電力の支援などを通じ、幅広い知識や人脈を持つのが強みだ。

 綱川氏は経営トップの交代かとの問いに、「意味合いは経営強化。二人三脚で経営にあたる」と説明したが、成長戦略の青写真を描く実質トップの役割は車谷氏に委ねられる。

 綱川氏は自他ともに認める調整型のリーダー。未曽有の危機に合理的な判断で淡々と乗り切ってきた。だが、再建から成長への移行を探る局面では、強いリーダーシップで成長を牽引(けんいん)する手腕が必要だ。車谷氏の招聘(しょうへい)は「社内にその候補が見当たらない」(東芝の元役員)裏返しでもある。

 「厳しい経験を乗り越え、より強い形で復活できる。世界初の技術を開発してきたDNAをよみがえらせる」と車谷氏は意気込みを語った。

 だが、東芝は危機の度に有望事業を切り売りして売上高はピーク時の6割に縮小し、収益の屋台骨は不在だ。一方、昨年12月の大規模増資で株主には海外の「物言う株主」が多く名を連ね、収益への圧力は今後増す。リストラなど構造改革に積み残しもあり、難しいかじ取りが迫られる。

 車谷氏は(1)資本の早期回復(2)事業構成の見直し(3)企業風土改革-を課題に挙げた。海外原発建設から撤退した原発事業も、なお「問題点がある」として打開策を協議する方針だ。山積する難題をどう乗り越え、東芝を復活に導くのか、車谷氏の手腕が注目される。(万福博之、柳原一哉)