【山本隆三の快刀乱麻】世界最大の中国市場 CO2の排出枠取引の前途 (1/4ページ)

 ■試行段階では望ましい価格に程遠く

 世界一の温室効果ガス排出国である中国の化石燃料起源の二酸化炭素(CO2)排出量は2015年実績で90億トンを超え、世界全体(323億トン)の28%を占めている。2位の米国は50億トン、5位の日本は11.4億トンだ。

 その中国はパリ協定の下で、少なくとも30年までに排出量をピークアウトすると同時に、国内総生産(GDP)単位当たりの排出量を05年比60~65%削減する目標を持つ。目標達成のため、30年までに一次エネルギーに占める非化石エネルギーの割合を20%にするとともに、森林を05年比45億立方メートル拡大することを目指すとしている。16年から始まった第13次5カ年計画では、20年にGDP単位当たりのエネルギー消費量を15%、CO2排出量を18%それぞれ削減することを目標として掲げている。達成のための具体策として、一次エネルギーに占める石炭の割合を16年の62%から20年には58%にする計画だ。

中国の黒竜江省にある石炭火力発電所(ブルームバーグ)

中国の黒竜江省にある石炭火力発電所(ブルームバーグ)

 中国では石炭の生産量と消費量が14年以降、落ち始めており、計画は達成可能とみられていた。ところが、石炭火力発電所の削減や、北部の家庭、小規模需要家の石炭使用を禁止したことが、液化天然ガス(LNG)の輸入量増と価格上昇を招き、エネルギー供給に問題が生じる地域が出てきた。そうした状況のなか、寒波の襲来を受け、中国政府は石炭の使用禁止を解除せざるを得なくなった。LNGの今後の供給状況によっては、石炭消費量抑制は難しくなる可能性がある。

 中国政府はCO2の排出枠取引制度についても、12年から北京市、上海市など6都市と湖北省、福建省で試行事業を実施したが、17年12月19日に中国全土で排出枠取引を行うと発表した。ただ、欧州排出枠取引制度(EU-ETS)の運用状況をみると、前途は多難に思える。

世界最大の中国市場