【高論卓説】「西郷どん」時代考証批判にうんざり ドラマをつまらなくする定説の押し付け (2/3ページ)

 このように思えてしょうがないのだが、時代考証という定説の押し付けが氾濫する。

 そもそも史実は、古(いにしえ)の記録が発見された氷山の一角の事実を突き合わせた結果にすぎない。水面下には無数の、歴史学者さえも知りえていない出来事が山ほどある。ましてや、人の気持ちがどう動いたかの解釈は千差万別。人の心の動きに思いをはせて、作家や脚本家が自由に表現して、何が悪いと言うのだ。

 一部の学者が唱えた定説の押し付けが、ドラマをつまらなくする。そして、この定説の押し付けは、ビジネスの場面でも山ほど見られる。私は、これがビジネス伸展を妨げている元凶だと思えてならない。

 上司の発言に金科玉条、定理定説がごとく忠実に従う。会議では、上位者が発言するまで、発言しない。発言しても、上位者の顔色をうかがい、それを斟酌(しんしゃく)した発言や行動しかできない。アクションを起こそうとしても、すぐに周囲の反応をうかがい同調しようとする。

会議でも研修でも面談でも、駄目出しに終始するからこうなる