栃木発 輝く

世界の自動車関係者が注目 「イケヤフォーミュラ」の技術進化 (2/4ページ)

 元レーサーの池谷社長が、妻の実家で経営するプレス会社の傍らでレース用の車のアフターパーツなどを造ることから始まった。レースドライバーと自動車製造を兼務する中で、「自分たちが造った車で競争したい」(池谷社長)と1994年にフォーミュラカー事業に参戦。「造ったもので勝負するから、今度は知恵比べ。知恵がないと勝てないから、寝ている暇はなかった」(池谷社長)と徐々に乗る側から造る側に立場が変わったが、バブル崩壊後の景気低迷と時が重なり、車両やパーツの供給先がなくなっていった。池谷社長自身もアルバイトを余儀なくされる時期が2年ほど続いたという。

 元レーサーの情熱

 窮地を救ったのは、現在も受注する駐車場のロック板。地価の下落で都心に空き地が増える中、無断駐車の被害防止のために開発し、「車両を造っていたところに、風穴を開けてくれた」(池谷社長)という。事業が息を吹き返し、再びフォーミュラカー製造を試みるが、「メーカー主導の規制ですぐに戻れる環境ではなかった」(池谷社長)と阻まれ、パーツ製造で再チャレンジすることにこだわった結果、シームレストランスミッションの前身となるレース用変速機の開発に至った。

 度重なる規制変更に振り回されてきたが、一貫しているのは操る楽しさを体現する車開発への取り組みだ。「レース用だと出るくいは打たれるから今は一般向けでも、世界中から声をかけてもらっている」(池谷社長)というシームレストランスミッションをはじめ、かつてのF1の音を再現したい思いでV10エンジンを開発中。公道を走る車に1万2000回転を超えるエンジンを載せようと、元レーサー社長は、情熱の火を燃やし続けている。(楠城泰介)

【会社概要】イケヤフォーミュラ

 ▽本社=栃木県鹿沼市樅山町427-1 ((電)0289・64・5652)

 ▽設立=1968年7月

 ▽資本金=1000万円

 ▽売上高=7億8000万円(2017年8月期)

 ▽従業員=30人

 ▽事業内容=フォーミュラカーや専用パーツ開発、自動車、駐車場機器の開発や製造販売

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