送電線の「空き容量」広がる誤解 再エネ事業者不満 経産省はルール見直し検討 (1/2ページ)

太陽光発電所
太陽光発電所【拡大】

 太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの導入をめぐり、発電所から電力を送る基幹送電線の「空き容量」が焦点となっている。大手電力会社は落雷による切断など緊急時にも安定供給を続けられるようにするため、公的機関が定めたルールに基づき、送電線の容量の50%を予備として空けて運用している。これに対し、接続を要望する再エネ事業者などから「大手電力会社は『空き容量ゼロ』を理由に再エネの接続を拒んでいる」との批判が出ているのだ。こうした事態を受け、経済産業省は安定供給を確保しながら弾力的に運用し有効活用できるようルールの見直しを検討している。

 大手電力会社は、電力の安定供給の確保を目的に設立された電力広域的運営推進機関が定めた業務指針に基づき、送電線を運用している。指針は「最も過酷」な状況を前提にしており、送電線の1本が切断などで使えなくても、もう1本の送電線に切り替えて供給できるようにする必要がある。つまり、送電線の容量の50%を空けておかなければならないルールになっている。欧米各国も同様のルールで運用している。

 また、電力の需要がピークとなる時間帯も50%の空き容量を確保する必要があり、使用量が少ない夜間は空きが拡大し、平均すると送電線の利用率は大幅に低下することになる。未稼働の発電所の稼働も想定し、十分な空き容量を確保できるよう運用していることも平均利用率を低下させる要因になっている。

 大手電力各社の基幹送電線の平均利用率は1~3割にとどまるとみられている。ただ、ピーク時にも50%の予備を確保しなければならないことを考慮すると、新たに再エネの電力を受け入れる余地はなく、「空き容量ゼロ」となる。

「がら空きなのに空き容量ゼロはおかしい」との批判