FCV普及 進まぬインフラ整備、トヨタ動向次第で開発に影響も

 燃料電池車(FCV)の販売が伸びない大きな要因として燃料の水素を補給する水素ステーションが増えないことがある。需要が少ない中で石油元売りやガス会社は多額の建設費や維持費がかかるステーション整備に二の足を踏んでおり、本格普及に向けた環境づくりは容易でない。

 FCVの開発ではトヨタ自動車、ホンダの日本勢が世界をリード。電気自動車(EV)は急速充電でも数十分かかるが、FCVは3分でフル充填できるのも強みとされてきた。ただEVも、自動車各社が開発を急ぐ「全固体電池」が実用化されれば充電時間は数分に短縮される見通しで、FCVの優位性が薄れる。

 国内のFCV販売の大部分を占めるトヨタは、2020年をめどに製造コストを大幅に下げた新モデルを投入、普及を目指す方針。一方、トヨタは昨年の世界販売台数で日産自動車とルノー、三菱自動車の連合に抜かれ3位に落ち、競争市場のEVでも出遅れ感が否めない。トヨタの動向次第では日本のFCV開発に大きな影響が出る可能性がある。