トヨタ、新型変速機を開発 ギア採用で燃費大幅改善、EVにも応用狙う

走行性能と環境性能を高めた新開発のCVTを紹介するトヨタ自動車の担当者=26日、東京都文京区
走行性能と環境性能を高めた新開発のCVTを紹介するトヨタ自動車の担当者=26日、東京都文京区【拡大】

 トヨタ自動車は26日、エンジンの動力を走行状況に応じてタイヤに効率よく伝える「CVT(無段変速機)」の新型を開発したと発表した。世界で初めてギア(歯車)をCVTに採用して走りと燃費性能を大幅に改善した。2023年までに変速機やエンジンなどのパワートレーンを進化させた車が主力市場(日米欧中国)の販売台数に占める割合を約8割に引き上げ、培った技術を電気自動車(EV)などの電動車に応用することも狙う。

 「二酸化炭素(CO2)排出量の大幅に減らすためにはエンジンや変速機の進化も重要だ」。同日に東京都文京区で開かれた説明会で、パワートレーン製品企画部の山形光正チーフエンジニアはこう強調した。

 トヨタは30年に全販売台数の約1割をEVと燃料電池車(FCV)とする目標を掲げており、エンジンが搭載される残り9割も環境性能で優位性を高める。

 CVTは金属ベルトを使って連続的に変速する変速機の一種で、滑らかな走りを実現できる。ただ、発進時の燃費性能低下が指摘されていたことから今回、時速40キロまでの低速域にエンジンの動力をタイヤに効率よく伝える「発進用ギア」を採用するなど、変速機の機構を改善した。

 燃費性能を既存の量産CVT搭載車と比べて6%高めたという。発進用ギアを採用したCVTは今後、世界販売で主力と位置づける排気量2000ccクラスの車に搭載。並行し、進化させたエンジンやハイブリッド技術なども同クラスに採用し競争力を高める。