【2018春闘】日立製作所/電機連合

中畑英信氏
中畑英信氏【拡大】

  • 野中孝泰氏

 電機各社の労働組合で構成する電機連合は26日、中央闘争委員会を開催し、2018年春闘交渉でベースアップ(ベア)に相当する月例賃金の改善にこだわる方針を確認した。交渉は中盤を迎えたが、経営側は5年連続のベアに極めて慎重な姿勢を示すなど、労使の見解はかみ合っていない。労組側が横並びの要求を行う「統一交渉」に主要労組の足並みが6年ぶりにそろったが、電機連合は昨年より厳しい交渉になるとみている。電機連合の野中孝泰中央執行委員長と、日立製作所労務担当の中畑英信執行役常務に今春闘での取り組みを聞いた。(万福博之)

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 ■海外環境を踏まえ議論

 □日立製作所 執行役常務・中畑英信氏

 --労働組合の3000円ベア要求への受け止めを

 「過去4年間のベア実施で、日立グループ全体で200億円の人件費が増えている。さらなるベアをやれば費用は積み上がり、これからも残ることは当然考える判断する。経済動向、社会的責任、業績、従業員のモチベーションのどこに重きを置くかを議論し、総合的に考えていかなければならない」

 --好業績の日立が果たす社会的責任については

 「デフレ脱却は政府だけの問題ではなく、日本全体で取り組まなければならない問題だ。日立も責任を持つべきだと思っており、それを踏まえてどの程度賃金水準を上げるべきかを考える」

 --一方で賃上げの重しになる最大の要因は何か

 「一つはこれからの経済状況で、不安定さを増していることだ。もう一つはグローバル企業との戦いだ。海外の競合は当社より高い利益率を実現し、いろんな企業を買収している。日立が現在の利益率で勝てるのかと考えた時に、やはり慎重に考えないといけない」

 --働き方改革への取り組みについては

 「多様な人材が日立で働き成果を上げることができるかが重要だ。そのためには今回は賃金・賞与だけでなく、限られた時間を活用して成果を上げる在宅勤務やサテライトオフィス勤務、育児・介護と仕事の両立支援などを総合的に捉える視点で交渉に取り組むことが必要だ。労使で知恵を出し合い議論を深めたい」

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 ■統一交渉で波及効果大

 □電機連合 中央執行委員長・野中孝泰氏

 --昨年同様、3000円のベアを要求した

 「デフレ脱却と経済の好循環のために4年連続で賃上げをしてきたが、個人消費の活性化には至っていない。可処分所得の上昇や中小零細企業への波及が十分でなく、将来に対する不安を抱えているからだ。経営側の危機意識や慎重姿勢も理解するが、持続可能な社会づくりに向けて継続した賃上げが必要だ。社会責任型の春闘という色合いがますます強くなっている」

 --東芝とシャープが統一交渉に復帰した

 「大手企業が賃上げしなければ、取引する中小やグループ会社は賃上げをしにくいが、大手が賃上げすれば底支えや底上げになる。苦しい状況から復活し一緒に闘争することで計り知れない波及効果が出てくる。一方で、主要13労組の足並みそろうので、メッセージ性のある回答を引き出す責任の重さも感じている」

 --各社の業績のばらつきが足かせにならないか

 「業績にばらつきがある中で回答を統一するのは大変なことだ。だが、業績の良しあしは一時金に反映させ、月例賃金は社会性の中でどういう水準がいいのか議論するという考え方だ」

 --働き方改革も大きな課題だ

 「人の力をいかに引き出すか、そのための労働環境の整備に取り組むことが本質だ。昨年3月に電機労使で長時間労働是正をはじめとする働き方改革の共同宣言を出したが、社会の価値観を変えていく運動にしていかなければならない」