【千葉発 輝く】日本ビルドライフ トランクルーム 無人案内など独自色

入り口のオートロックのドアをあけると室内には間仕切りされたさまざまなサイズのトランクルームがある=千葉市花見川区
入り口のオートロックのドアをあけると室内には間仕切りされたさまざまなサイズのトランクルームがある=千葉市花見川区【拡大】

  • 有賀一郎社長
  • スマートフォンやパソコンで、遠隔制御や無人の案内ができるシステム「e-番頭」の画面

 趣味の大事な収集品や家族の思い出の品の保管など、都市部を中心に需要が拡大し、成長を続けるトランクルーム業界。千葉県などを中心に主に室内型のレンタル収納スペース「マイキューブ」を展開する日本ビルドライフは、ICT(情報通信技術)を活用した無人案内システムを開発するなどの独自色を打ち出し、利用者確保と囲い込みを図っている。

 ◆異業種からの参入

 「もともとは建築や店舗内装の仕事を手掛けていたが、賃貸業ができないか常々考えていて」-。同社の有賀一郎社長(59)はこう話す。当時のトランクルームといえば、今でも郊外の幹線道路沿いでみかける大型コンテナを利用したものが中心。有賀社長も2000年の事業開始当初はそういったトランクルームの展開をしていたが、大きな問題にぶつかったという。

 それは05年ごろ、耐震偽装問題が大きな社会問題となり、コンテナを積んだだけのトランクルームの営業はグレーゾーンとなったことだ。これを機に有賀社長はコンテナタイプのトランクルームではなく、ビルやマンションといった賃貸物件の中で間仕切りしたトランクルームができないかを模索。室内型中心のトランクルームの展開に切り替え、現在は一般的なトランクルーム10カ所と、バイク専用のトランクルームを展開するに至るなど順調に経営を拡大してきている。

 店舗の拡大に伴って課題となってきたのがトラブルへの対応だ。たとえば、内覧を希望する人から連絡があっても、有賀社長やスタッフが別の店舗で対応していたりすれば、顧客を待たせることになる。一方で、各トランクルームにスタッフなどを配置すればその問題は解消できるものの、人件費がかさんで賃料が高くなってしまい、利用希望者に敬遠されかねない。

 ◆効率化へ遠隔制御

 そこで考えたのがICTを利活用した遠隔制御サービスの導入だ。専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやパソコンの画面上で、映像を見ながら簡単な内覧への対応が可能になった。

 また、遠隔操作でカメラの画像を見ながらトランクルームの解錠なども行え、利用者がオートロックなのに鍵を荷物などと一緒に置き忘れてしまうインロックへの対応も迅速になった。

 利用希望者と調整がつかず、成約が見送られるケースも多い中、「利用を希望するお客さまとのマッチングがしやすくなり、成約率が2倍以上になった」と有賀社長はいう。

 カメラで24時間監視していることから、事故などが発生した際の状況確認が容易になったり、成約率の向上や関連コストの削減による費用負担を抑えられるようにもなり、利用者への還元ができているという。

 遠隔制御システムの開発は画期的で、日本社会全体が人手不足や労働力不足に悩む中、同業他社からも導入についての問い合わせが相次いでいるという。

 思い出の品や書類、趣味のグッズや収集品などさまざまなものを保管するトランクルーム。都市部の集合住宅など収納が少ない地域を中心に、今後も伸びる需要を取り込み、成長する努力を続けていく。(永田岳彦)

                 ■ □ ■

【会社概要】日本ビルドライフ

 ▽本社=千葉市中央区千葉寺町973-17-101

 ▽設立=2000年3月

 ▽資本金=2000万円

 ▽従業員=5人

 ▽売上高=約7000万円(17年2月期)

 ▽事業内容=トランクルームの運営など

                 ■ □ ■

 □有賀一郎社長

 ■独立した子供の思い出の品保存

 --トランクルーム事業に参入したきっかけは

 「もともと建築や店舗内装の仕事をやっていたので畑違いだが、現場でコンテナを積んでいたりして、何か賃貸業ができないかと考えていた。これがちょうど20年前ぐらいで、内装の会社を廃業してレンタルルームの会社を設立した」

 --コンテナを改装したレンタルルームを事業の中心にしなかったのは

 「2005年ごろ耐震偽装問題が起きて、(耐震性の面で)コンテナのレンタルルーム事業の将来性が不透明な時期があった。そうした経緯もあって、テナントのビルの中で間仕切りしてできないかと考え、始めた。あの問題がなかったら今、この仕事をしていなかったかもしれない」

 --テナント内に設けていることのメリットとは

 「コンテナは湿度や温度がなかなか一定に保てないが、室内型トランクルームは空調もあるので衣服やカメラなどの機械類、書類を置く人もいる。今はネットで商売をしている人も多いので、そういったユーザーの商品在庫の保管場所としての活用も期待している」

 --どういった利用者が多いのか

 「千葉県中心で住宅街の近くに展開している。大手は法人向けに主要駅近辺で大規模だが、われわれは7~8割が個人のお客さまだ。年齢層は30代半ばから60代で、特に子供が独立したものの、思い出の品を捨てられない40~50代が多い」

 --無人案内・遠隔制御システム「e-番頭」開発の経緯は

 「店舗数が増えてスタッフが頻繁に現場へ行けなくなる中で、コストをかけずに無人でタイムリーに案内できる仕組みを作ろうと考えた。内覧希望者や利用者のトラブルに迅速な対応が可能になって、その点がお客さまの満足度や成約率の向上にもつながっている」

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【プロフィル】有賀一郎

 ありが・いちろう 千葉商科大卒。内装施工会社の取締役などを経て、2000年3月日本ビルドライフを設立、16年から現職。59歳。千葉県出身。

                 ■ □ ■

 ≪イチ押し!≫

 ■「e-番頭」トラブルに迅速対応

 トランクルームに常時、スタッフを置くわけにもいかないが、トラブル時に利用者を待たせるわけにもいかない。こうした悩みを解消する画期的なシステムとして注目を集めているのが日本ビルドライフが2016年ごろから一部店舗で導入した無人案内・遠隔制御システム「e-番頭」だ。

 スタッフやフランチャイズ(FC)店のオーナー限定で、専用アプリをダウンロードできるほか、パソコンから専用サイトにアクセス・登録することで、トランクルームの入り口や室内の映像をスマートフォンなどで確認でき、複数に分割した画面を同時に見られる。鍵を置いたまま室外に出てしまうインロックの連絡を受けると遠隔操作で電子錠を解錠できる。人件費高騰などで注目され、カメラ4台とシステムを月2万円程度でリースすることも視野にいれている。