仮想通貨16社、自主規制団体 独自ルールで業界の透明性向上

仮想通貨取引の自主規制に向けた新団体設立について記者会見する奥山泰全氏(左)と加納裕三氏=2日、東京都千代田区
仮想通貨取引の自主規制に向けた新団体設立について記者会見する奥山泰全氏(左)と加納裕三氏=2日、東京都千代田区【拡大】

 ビットフライヤーなど仮想通貨交換業者16社は2日、統一の自主規制団体を4月に設立すると発表した。不正アクセスにより約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した仮想通貨交換所大手の「コインチェック」(東京)の問題を受け、業界の態勢整備を急ぐのが狙い。

 新団体は、金融庁に登録する仮想通貨交換業者16社が会員となり、今後、登録申請中の「みなし業者」の参加も募る。会長にはマネーパートナーズの奥山泰全社長、副会長にはビットフライヤーの加納裕三社長がそれぞれ就く。

 同日の会見で、奥山氏は「設立を契機に、信頼され安心して利用できる環境を整える」と話した。

 新団体は、内部管理態勢の整備、企業が独自の仮想通貨を発行して資金を調達する「新規仮想通貨公開(ICO)」の規制、詐欺行為の監視、システム障害や入出金トラブルなどについて独自のルールを設ける方針。ルールを守らない交換業者に罰則を与えるなどして仮想通貨業界の透明性を高める考え。

 金融庁は、2017年4月施行の改正資金決済法で、一定の要件を満たす業界団体を「認定資金決済事業者協会」とし、企業への指導ができるようにした。ただ、業界内の主導権争いが障害となり、金融庁認定の自主規制団体は設立できていなかった。日本仮想通貨事業者協会(JCBA)と、日本ブロックチェーン協会(JBA)の2つの業界団体は存続する見通し。

【用語解説】自主規制団体

 業界の成長や顧客保護などを目的に、自らルールを策定し、会員企業を規制する組織。金融関連では証券会社でつくる日本証券業協会のほか、投資信託協会、金融先物取引業協会などがある。仮想通貨交換業者がつくる団体も申請により、改正資金決済法に基づく認定を受けることができる。同法は、会員への法令順守の指導や勧告、利用者からの苦情の処理、広報といった業務に団体が当たるよう定めている。