宇宙開発を自治体「新産業に」 参入企業誘致

 日本では、宇宙産業に参入する企業の支援や誘致を各地の自治体が進めている。地勢やモノづくりの実績を生かし、新たな地域産業に育てる狙いだ。国も宇宙ビジネスへの民間参入を促しており、市場の拡大に伴い、同様の動きは広がりそうだ。

 ◆発射場建設名乗り

 太平洋に面する北海道大樹町。人口は約5600人で、酪農など1次産業が中心だが、約30年前から「宇宙のまちづくり」を掲げ、産業誘致に力を入れてきた。1000メートルの滑走路を整備し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実験場を置く。自社開発した小型ロケットの打ち上げで注目されるベンチャー「インターステラテクノロジズ」も拠点を開設した。

 現在、国内のロケット発射場はJAXAが運営する鹿児島県の種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所があるが、大樹町も建設に名乗りを上げている。晴れの日が多く、立地が打ち上げなどの実験に適しているという。大樹町企画商工課は「宇宙は新産業だ。町を関連企業が集積する場所にしたい」と意気込む。

 福井県は、地元企業などによる超小型人工衛星の開発を後押しする。重さは100キロ程度で、製造費は約4億円を想定する。2020年度の打ち上げを目指しており、衛星からの画像データを防災や教育、農業などの分野で活用したい考えだ。

 16年、県内企業を中心に技術研究組合を発足させた。宇宙関連のベンチャー企業である「アクセルスペース」(東京)とも連携する。県は試験環境の整備や人材育成を担う。担当者は「衛星や関連部品を量産できるようなレベルまで進めたい」と話す。

 ◆市場倍増目指す

 愛知県は地元企業の関心を掘り起こそうと、宇宙の利用産業に関するシンポジウムを開催した。民間ロケット会社による発射場の建設計画が浮上している和歌山県は、実現に向けて調整を進める。関連企業の誘致や観光振興にも期待を寄せる。

 宇宙産業の国際競争は激化している。機器産業や衛星データなどの利用産業を合わせた国内の市場規模は約1兆2000億円。政府が策定した「宇宙産業ビジョン2030」では、これを30年代早期に倍増させる目標を掲げている。

 日本航空宇宙工業会の山北和之常務理事は「宇宙でどんなビジネスができるのか、これまで日本では情報発信が足りなかった」と指摘する。新規参入のハードルはいまだに高いとしつつ「今後、宇宙に関する情報がもっと周知されれば、自治体も関わりやすくなるのではないか」と期待する。