【eco最前線を聞く】大京 5階建て全79戸でエネ消費75%削減

「ライオンズ芦屋グランフォート」の完成予想図
「ライオンズ芦屋グランフォート」の完成予想図【拡大】

 □大京 建設管理部商品企画室の中山雄生室長

 大京(東京都渋谷区)は、省エネルギーと創エネルギーにより第1次エネルギー消費量を限りなく減らす地上5階建ての中層分譲マンション「ライオンズ芦屋グランフォート」を兵庫県芦屋市で建設中だ。販売79全戸で75%削減をクリアし、全体で80%超の削減を目指しており、この提案は国土交通省が先導的環境技術を活用した住宅・建築物について2017年度初めて公募した「サステナブル建築物等先導事業」に採択される“お墨付き”を得た。建設管理部商品企画室の中山雄生室長は「かなり実験的な要素を意欲的に取り入れた」とし、集合住宅のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)普及への足掛かりにしたい考えだ。

 ◆マンション独自の基準

 --集合住宅向けのZEHは難しいとされてきた

 「戸建て住宅に比べ、集合住宅は階数が増えると太陽光発電パネルの設置面積が限られるなどの制約があり、ZEHはなかなか進んでこなかった。当社は3年ほど前から集合住宅でどこまでZEHに近づけられるかを検討してきた。そこで、独自に戸建て住宅で75%以上のエネルギー消費量削減を基準とする『Nearly ZEH』に準拠したマンション版の基準『Nearly ZEM』を設けた。今回の芦屋の場合、住宅内部と外部の境界部分に当たる外皮の高断熱化などで32%の省エネ、太陽光発電による48%の創エネをそれぞれ実現し、全体で80%超のエネルギー消費削減が図れると試算した。ゼロからの取り組みで試行錯誤の繰り返しだった。ただ、国内で初めて中層5階建てでこの基準を満たせた意味は大きい」

 --このマンションの特徴は

 「コンセプトを『持続可能な社会に向けて、未来のスタンダードとなる住まいの提供』とし、大きく3点を訴えている。ZEHへのアプローチで『エネルギー消費量を減らし、創る住宅』を目指したことは言うまでもない。ZEHへの取り組みは同時に、『災害時に生活を持続できる自立する住宅』の実現につながる。さらに、敷地内は在来種を100%使用した20%超の緑地率や、六甲の心地よい風を取り入れた建築計画など『生態系を保全し自然の力を活(い)かす住宅』を目指した。こうしたコンセプトは、高級住宅地で永住者が多く、環境に対する意識の高い芦屋ならではの土地柄だから打ち出せた」

 ◆災害時も1週間生活可能

 --災害時の具体的対応策は 

 「マンションは耐震性が強いものの、意外にも地震に弱いことが分かっている。東日本大震災、熊本地震で電気が止まってエレベーターが停止し、水も出ないケースが続出した。そこで、電気、水、ガスの全てのライフラインがストップした場合でも、マンションとして自立した生活を持続できるようにした。それを可能にするのはZEHへの取り組みがあったからこそだ。太陽光発電、蓄電池、エネファームに井戸を組み合わせ、停電時でも生活に必要不可欠な機能を補完しあう『SONA-L SYSTEM』を導入し、災害時でも1週間以上にわたって共用部、専用部ともに生活ができるように設計した」

 --今後の取り組みは

 「経済産業省も『集合住宅におけるZEHロードマップ検討委員会』を設け、補助金の創設など集合住宅のZEH普及・拡大への予算を計画している。それも踏まえ、今年は集合住宅のZEH元年になるとみている。当社としても、今回の5階建てマンションへのZEHの導入で得たノウハウは、今後、どんどん展開していきたい。そこは分譲マンションデベロッパーとしての責任でもある」(鈴木伸男)

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【プロフィル】中山雄生

 なかやま・かづお 1991年大京入社、2014年から現職。千葉県出身。50歳。