視点

スパコン超える「量子計算機」の開発競争激化 後発の日本は挽回できるか (2/3ページ)

 日本では、国産初の量子コンピューターが昨年11月下旬からインターネットを通して無償で一般公開されている。NTTと国立情報学研究所などが共同開発したもので、カナダと同じ「最適化」が得意だが、カナダの量子コンピューターが極低温、真空の環境を必要とするのに対し、国産機は常温・常圧でも使えるという。

 日本が生んだ量子アニーリングの研究も進む。東北大は昨年10月に量子アニーリング研究開発室を発足。ディー・ウエーブ・システムズと提携し、研究開発を始めた。同大大学院の大関真之准教授は「量子コンピューターを何に役立てるか、を先んじて調べることが必要だ」と意欲的だ。将来的には、量子アニーリングの研究拠点の形成が目標だ。

 東京大の古沢明教授らのチームも昨年9月、量子コンピューターを最小限の回路で作る新たな手法を考案したと米物理学会誌に発表した。機器の小型化、コスト削減が見込めるという。

 さて、量子コンピューター時代の幕開けで、私たちの生活の何が変わるのか。今のところ、通信ネットワークの効率化や大都市の交通渋滞解消、創薬のための化合物探索など幅広い分野での応用が期待される。

 「実用化は未知数」とされてきたビジネスにおける実証実験も始まった。野村ホールディングスは2月27日、東北大との共同研究を始めると発表。最適な株式などの保有構成と、将来の株価予測について、従来のコンピューターと比較して精度などを検証する。株価予測では、アナリストのリポートの自然言語を解析して市場関係者の心理を読み取り、確度を高めるという。

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