資源の持続可能性、関心増で反応上々 日本水産・小林雄二執行役員

 完全養殖マグロ事業の展望を、日本水産の小林雄二執行役員に聞いた。

 --小売店の引き合いは

 「水産資源の持続可能性に対する関心が高まっており、反応は上々だ。刺し身用マグロの国内消費量は年間40万トンで、そのうち国産養殖はわずか1万5000トン。今後の伸長は間違いない」

 --配合飼料の利点は

 「稚魚の餌は通常、養殖したキスなどの小魚を与えるが、魚粉を加工した配合飼料で手間と費用が軽くなった。成魚の餌も同様に、魚肉ソーセージに似た新開発の飼料に置き換えた。餌のえり好みが激しいマグロに好まれるよう、“ぷるん”とした食感に仕上げた」

 --事業拡大への課題は

 「稚魚の生残率が1%前後と、まだ低い。当社の養殖ブリの場合は約17%。歩留まりの向上が不可欠だ。白姫エビ(バナメイエビ)の試験養殖もしており、効率を高めて事業化したい」