【2018春闘】「トヨタに倣え」を問題視 (1/2ページ)


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  • 平成30年春闘の会社側の回答について記者会見で説明するトヨタ自動車の上田達郎専務役員=14日午後、愛知県豊田市
  • 平成30年春闘で会社側から正式回答を受け、記者会見するトヨタ自動車労働組合の西野勝義委員長=14日午後、愛知県豊田市

 平成30年春闘でトヨタ自動車は、回答日の前日まで交渉がもつれ、14日も賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)の具体額を公表しない異例の対応だった。相場形成の役割を官民から期待されるトヨタだが、ベアにとらわれず、「本社とグループ会社」「正社員と期間従業員」の格差是正を優先した。経営側は来年以降も同じ手法を続けたい考えで、春闘牽引(けんいん)役が不在となる懸念の一方、「正社員のベア」に関心が集まる春闘のあり方に一石を投じた。

 回答は「正社員以外を含む全組合員の昇給で月額1万1700円」。期間従業員への家族手当の導入などを含む全組合員の昇給率を平均3・33%とした。愛知県豊田市で14日に記者会見した上田達郎専務役員は、「定年後再雇用者、期間従業員に厚めに配分する」と説明した。ベア具体額を非公表とした背景には、「トヨタを見て自社の回答を決めるという慣習が、各社の労使の真剣な話し合いを阻害している」(豊田章男社長)との問題意識がある。

 安倍晋三首相は1月の施政方針演説で、技術革新の成功事例としてトヨタグループの創始者、豊田佐吉氏の名前を出した上で、積極的に賃上げした企業の税制を優遇する制度を説明。トヨタ内には、同社に春闘相場を引っ張ってほしいとの期待の表れと受け止める向きもあった。