東通原発の共同事業化…入り乱れる各社の思惑 描く連携の形、電力業界の未来を左右 (1/2ページ)

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 東電東通原発の建設や運営に、他の大手電力が加わることで原発事業の再編が動き出す。東電と株主の政府は投資負担の軽減などで採算を改善し、原子力事業の維持を狙う。他電力も再稼働が進まない中、技術力や人材の確保への活用を期待するが、巨額の賠償を抱える東電との連携に警戒感は根強い。

 中部電の勝野哲社長は16日の記者会見で「協議会設置の話はない」と否定しつつも、「連携するメリットがあれば検討する」と述べた。

 東電は昨年5月に策定した経営再建計画で、企業価値向上策として原子力事業の再編を明記。11月には、原発関連施設が集中する青森県の立地を生かし、東通原発の共同事業化を他電力やメーカーに呼び掛け、再編の契機にする考えを示した。

 背景には投資負担やリスクの拡大がある。福島第1原発事故後の新規制基準で、各原発の追加の安全対策費は数千億円規模に膨らんだ。訴訟による稼働停止の恐れもあり、「(東通原発を通して)各社それぞれが原発を新増設する時代なのかどうかを検討したい」(東電幹部)

 政府が改定を議論するエネルギー基本計画で新増設など原発の将来像の明示が難しくなる中、原発を保有する大手電力には技術力や人材の維持にも危機感が強い。関電の岩根茂樹社長は「事業者間の連携は技術や人材も含めて重要だ」と指摘する。

入り乱れる各社の思惑