金融

銀行の収益モデルを真っ向から否定 セブンの40倍も儲かるコンビニATMの「謎」 (4/6ページ)

 提携金融機関に「手数料」を支払わせるモデル

 実は、セブン銀行はATMの利用料で稼ぐシンプルなビジネスモデルである。しかも利用者が手数料を支払うのではなく、600以上ある提携金融機関(銀行も含まれる)が手数料を支払うというのがミソだ。

 たとえば、セブン銀行の提携先にA銀行があるとする。A銀行に口座を持つ顧客は、普通はA銀行の支店に出向いてお金を出し入れするだろう。それとまったく同じように、顧客はセブン銀行のATMを使ってA銀行の口座からお金を出し入れできる。つまり、セブン銀行のATMは、この利用者にとってはA銀行のATMとして機能するのである。

 基本的に利用者はATMの手数料を支払う必要はない。利用者に代わってATMの手数料を支払っているのは、利用者がお金を引き出している(あるいは入金している)A銀行なのである。つまり、「セブン銀行の顧客は銀行」なのだ(提携金融機関や時間帯によって利用者が利用料を払う場合もある)。

 A銀行の顧客は、支店よりセブン-イレブンが家の近くにあり手数料もないとなれば、セブン銀行のATMを使うだろう。しかも銀行と違って、セブン-イレブンは365日24時間、休みなく開いている。いつでも安心してATMを使うことができる。

 では、金融機関がお金を払ってまでセブン銀行のATMと提携するのはなぜか。自らATMを設置するには、コストがかかる。セブン銀行のATMと提携して、顧客が利用したときだけ手数料を支払うほうが、金融機関にとってもはるかに安上がりなのだ。

 金融機関のなかには、もともとATMをそれほど設置していない証券会社や信金などがある。全国に約2万店あるセブン-イレブンのATMが使えるようになれば、顧客の利便性は一気に高まる。このように金融機関にとっても、セブン銀行はありがたいサービスなのである。

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