金融

銀行の収益モデルを真っ向から否定 セブンの40倍も儲かるコンビニATMの「謎」 (5/6ページ)

 最も手ごわい競争相手は店内の物販

 セブン銀行に「競合」はいるだろうか。銀行が顧客だと理解していないと、競合は他の銀行と考えてしまいがちだ。しかし前述のように、銀行は顧客であって競合ではない。

 ではいったい誰が競合なのか。他のコンビニにあるATMだとか、ネット銀行だとか、クレジットカードとか様々な競合が候補として挙げられよう。それはそれで間違いではない。しかし、セブン銀行のATMにとって最も手ごわい意外な競争相手は、実はセブン-イレブン店内の物販事業である。

 セブン-イレブンのオーナーの立場で考えるとわかりやすい。店内にセブン銀行のATMを置くということは、それだけ物販スペースがなくなることを意味する。オーナーにしてみれば、同じ床面積で物販事業によって得られる収益とATMを置くことによって得られる収益とを天秤にかけることになる。ATMを設置する面積に商品を置いて販売したほうが、より多くの収益があがると考えれば、オーナーはATMを設置しないだろう。

 実際に、セブン銀行が事業を開始した当初、ATMの利用者が少なく、設置するメリットが薄いため、ATMを返却したいと申し出たオーナーがいたと言われている。セブン銀行のATMは、銀行の支店にあるATMとは比べ物にならない厳しい競争環境に置かれているのだ。

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