【木下隆之のクルマ三昧】量産モデルより先にレース仕様…トヨタ異例の開発手法に業界騒然 “新型スープラ”の持つ深い意味 (3/3ページ)

 多田氏は具体的に指摘してくれた。

「例えば前後フェンダーの空気吸排気口がその一つの例ですね。ここで空気を整流したい。市販車の段階であらかじめデザインしておけば有利ですよね」

 まもなく産声を上げる量産スープラ

 このようなレーシングカーを先行開発するという前代未聞の手法は、市販モデルとレーシングモデルが密接な関係にあることの証拠である。

トヨタの「GRスープラ・レーシング・コンセプト」

トヨタの「GRスープラ・レーシング・コンセプト」

 まもなく産声を上げることになる量産スープラは、レースでも通用する戦闘力を秘めていることを意味し、「GRスープラ・レーシング・コンセプト」は規則に縛られることなく自由に戦闘力の翼を広げることができるのである。

 今回の「GRスープラ・レーシング・コンセプト」は、華やかなレーシングマシンの単純なデビューと簡単に片付けられない深い意味を持つのである。

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【木下隆之のクルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。

【プロフィル】木下隆之(きのした・たかゆき)

木下隆之(きのした・たかゆき)レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。