英国のEU離脱まで1年 日本企業、危機管理を強化

 英国が欧州連合(EU)を離脱する来年3月29日まで残り1年を切った。両者は今月から、自由貿易協定(FTA)締結に向けた協議をようやく始める。ただ双方の経済関係は依然見通せず、日本企業も危機管理を強めている。英国がEU単一市場から離れた場合の打撃を抑えるためだ。英国が2019年3月末のEU離脱以降も、20年末まで激変を避ける「移行期間」が設けられている。しかし、双方が19年3月末までに離脱協定を批准できず、無秩序に関税が復活するリスクは消えていない。

 「仮に(英国とEUの自動車貿易で)10%の関税がかかる最悪シナリオの対応策を真剣に検討している」。トヨタ自動車の欧州担当、七原弘晃常務役員はこう話す。英工場で造る製品のうち85%は欧州大陸へ輸出している。高関税がかかるようになった場合は原価低減を強化する方針だが、「無傷ではない」と言う。

 日産自動車はサプライチェーン(調達・供給網)強化の一環として、英国の部品メーカーの育成に力を入れる計画だ。日系企業は、新車の安全や環境の型式認証を相互に受け入れるといった非関税障壁が生じない措置も求めている。

 EUでは、銀行などがいずれかの加盟国で免許を取れば、域内で自由に営業できる「単一パスポート」の制度がある。英国がこの仕組みから抜けることに備え、証券大手の野村ホールディングスと大和証券グループ本社、みずほ証券はそれぞれドイツの金融都市フランクフルトで現地法人設立などの準備に既に乗り出している。(ロンドン 共同)