高性能コンピューター、AI研究需要でレンタル活況 (1/2ページ)

将棋の第2期電王戦の最終第2局で、コンピューターソフト「PONANZA」と対局する佐藤天彦名人=2017年5月、兵庫県姫路市の姫路城
将棋の第2期電王戦の最終第2局で、コンピューターソフト「PONANZA」と対局する佐藤天彦名人=2017年5月、兵庫県姫路市の姫路城【拡大】

 ビジネスや研究での人工知能(AI)活用に期待が高まる中、AI自らが学習し判断能力を高めていくために必要な高性能コンピューターをどうやって確保するかが課題として浮上している。価格が高く、気軽に購入できないためだ。ニーズを満たそうと国内外のIT企業が、一時的に貸し出すサービスに参入。顧客確保のための激しい競争が始まっている。

 購入は莫大な費用

 AIを飛躍的に進歩させたディープラーニングという技術を使って性能を高めるには、目的に応じた膨大なデータを処理し、AI自らが学習するという特有のプロセスを踏む必要がある。世界最強棋士を破った囲碁ソフトが過去にプロが打った石の配置を記憶し、さらに自らを相手に何千万回も対局を繰り返す学習をして強くなったのが典型的な例だ。

 この処理に適しているのが「GPU」と呼ばれる主に画像処理に使われている半導体。これを数百個から数千個搭載したコンピューターは複数の計算を同時に行えるため、膨大なデータを高速に処理できるようになる。

 ただ、GPUを搭載したコンピューターは購入に億単位の費用がかかる場合もある上、性能の進歩が速く最新のマシンがすぐに時代遅れになるという問題もある。

 秒単位で貸し出しも

 大がかりな投資をせずGPUを利用する手段として出てきたのがネットを通じて一時的に貸し出すサービスだ。米アマゾンやグーグルといった大手企業のほか、国内では東京大や東京工業大など研究機関も展開する。

 「24時間使い続けないなら無駄が大きくなるので、どこかから借りる方が良い」と話すのは、各社のサービスを分析する千葉工業大のブリズガロフ・ピョートル主任研究員。

「AIを使う機会はこれから増えていく」