楽天の携帯電話事業への参入が総務省に認められる見通しとなったことで、寡占状態にある市場が活性化し、利用者にとっては料金値下げやサービス充実への期待が高まる。ただ、普及の兆しが見え始めた格安スマートフォンにとっては新たな参入者の登場で競争激化は避けられず、事業者の淘汰(とうた)が進む可能性もある。
「格安スマホが普及して携帯電話料金は安くなったが、海外と比較すればまだまだ高い」。菅義偉官房長官は2月の衆院予算委員会でこう述べ、携帯大手各社のさらなる料金値下げに期待感を示した。
政府は携帯電話利用者の料金負担軽減に向け、大手から回線などを借りて運営する格安スマホ事業者を後押ししてきた。結果、格安スマホの3月のシェアは民間調査結果で10%を超えるなど徐々に浸透してきている。
楽天が携帯電話事業に本格参入し、割安な料金プランの提供などで格安スマホを含む事業者間の競争が激しくなれば消費者の利点となる。小林史明総務政務官はフジサンケイビジネスアイのインタビューに「ただ(料金水準を)値下げしてほしいというのではなく、この国が前に進むためにも、携帯電話市場が活性化するような新しい事業に期待したい」と強調した。