自動車

規制が普及後押しで「産業誕生以来の大変革」 到来する自動車市場の大変化とは (2/5ページ)

 まずは過去、世界における乗用車の新車販売台数がどのように推移してきたのかをグラフで示す(図表1)。グラフで分かるように、オイルショックやリーマン・ショックなど大きな景気後退によって販売台数が減少した時期はあるものの、過去100年間にわたり、ガソリン車を中心とした新車販売台数はおおむね伸び続け、自動車産業は順調に成長し続けてきた。

 私たちの分析では、2025年頃を境に新車販売が二つに分かれ始める。新車販売のうち自らが乗車する目的で購入される乗用車の販売台数が減り始める。その一方で、シェアリング用自動車の販売台数は増加する。新車販売台数全体としてはほぼ横ばいとなり、従来型の自動車産業は成長を続けるものの、そのスピードは鈍化していく。

 激変を起こす要素の1つは電気自動車の普及だ。ひとくちに電気自動車と言っても、ガソリンを一切使わないものから、ガソリンと電気、両方を動力源とするハイブリッド型、水素やバイオ燃料を動力源とする燃料電池車まで幅広いタイプがある。

 このうち実用性という観点から、中長期的に普及すると見られるのはガソリン燃料を一切使用しない電気自動車(BEV)と、充電も給油もできるプラグインハイブリット車(PHEV)だ。ガソリンに比べて電気での走行は燃費が良い。現在はまだバッテリーは高価だが、将来的にはバッテリー価格の大幅な下落が進むと考えられるため、これらの普及が進むと考えられる。我々の試算では、新車販売台数(乗用車)に占める電気自動車の割合は、2017年にはわずか1%にすぎなかったものが、2035年には30%にまで伸びる。プラグインハイブリット車まで含めると、その割合は36%と、新車販売台数全体の4割近くに達し、ガソリン車を脅かす存在になっていく。

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