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午後4時半終業に踏み切った味の素 働き方改革にかける社長の本気、現場からリポート (7/7ページ)

 「マインドセットを変えてもらうときに一番引っかかるのはなんだろうと考えたら、最初に言ったように『特定の人だけ早く帰る』ということだったんです。本当はみんなそうしたいと思ってるはず。だったら、みんな早く帰れるようにすると、もっと知恵が出るんじゃないか。特定の人に偏ると、結局協力が得られないから、制度なんかいくら作ったってダメなんですよね」

 ESG投資家には好意的に受け止められている。これは海外の資本を呼び込むうえでの強みだ。エレベーターで、会社の行き帰りにすれ違う女性社員はにこやかだという。

 「『ちゃんとやってくれてるよね』と認められているのかな。20年に、社内の80%以上の人から、働きがいがあるこの会社で働き続けたいという回答が出るようにPDCAをまわそうと思ってるんです」

 社長「夜の宴席の前にジムに行けます」

 最後に社長自身の働き方について聞いてみた。

 「夜の宴席が多いのですが、宴席の前にジムに行けます。4時半に終わって、1時間ぐらいプールで泳いで、それから宴席です」

 保守的な食品業界において、味の素は一歩先をいく働き方改革に着手している。マインドセットの変え方はどこも悩みの種だが、「特定の人だけでなくみんなが早く帰る」という大胆な一歩がその鍵であるといえるだろう。

 (少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授 白河 桃子 編集=相馬留美 撮影=岡村隆広、市来朋久)(PRESIDENT Online)

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